Step2
ベアリングの歴史 (れきし)
1500年には現在 (げんざい) のベアリングが!?
ベアリングの原理は
古代ピラミッド作りに
使われていた!?
さてみなさん、ステップ①のクイズ
「ベアリングの原理は古代エジプトのピラミッド作りにも使われていた?」
正解 (せいかい) しましたか?
どうです?びっくりしたでしょう。
ベアリングはかせ 、証拠 (しょうこ) はあるの?
ではこちらの絵を見てみましょう。
この絵は約 (やく) 2700年も前にかかれた、古代メソポタミアで巨大 (きょだい) な石造 (せきぞう) を運んでいる様子を記録したレリーフをもとにした絵です。
赤いわくのところをよく見てください。
あ、丸い棒 (ぼう) みたいなものがあるね!
そうです。これは丸太で、そり船の下の丸太が転がることで摩擦 (まさつ) を小さくしています。この原理によって巨大 (きょだい) な石像 (せきぞう) を運ぶことができていました。
回転 (かいてん) で摩擦 (まさつ) をへらすこの原理、じつはベアリングの原理と同じなのです。
この船のように重いものを運ぶ台の下にならべられた丸太のことを、一般的 (いっぱんてき) に「ころ」と言います。
「ころ」はベアリングの部品の一つ、転動体 (てんどうたい) の一種に使われている名前です。ころには筒 (つつ) のような形の円筒 (えんとう) ころや、紙コップのような形の円すい (えんすい) ころなど、さまざまな形があります。
天才レオナルド・ダ・ビンチが
ベアリングの構造を考えていた!?
さまざまな分野で発明をした万能 (ばんのう) の天才レオナルド・ダ・ビンチは、ベアリングに近い構造 (こうぞう) を考えていたんだよ。
じつはレオナルド・ダ・ビンチが生きていたのは1500年ごろのルネサンスという時代。まだまだクルマも飛行機 (ひこうき) もない時代だったけど、陸を走る乗り物や、空をとぶ乗り物のスケッチをのこしているんだ。その乗り物に、ベアリングが必要になることを想像 (そうぞう) していたのかもしれないね。
タイムマシーンがあったら、話を聞きに行きたいよね。あ、そのタイムマシーンにもベアリングが使われるのかな?
ベアリングって、レオナルド・ダ・ビンチが考えたときは、一つ一つ手作りだったんですか?
いい質問 (しつもん) ですね。
レオナルド・ダ・ビンチが生きていた時代にベアリングが作られていたかはたしかではありませんが、ベアリングが一度にたくさん作れるようになったのは、1800年代の後半と言われています。
なんでその時代にたくさん作れるようになったんですか?
1800年代の初め、イギリスを中心に産業革命 (さんぎょうかくめい) がおこり、機械工業 (きかいこうぎょう) が生まれました。
イギリスを中心にすごいスピードで技術 (ぎじゅつ) が進化して、世界に広がり、大きな工場でたくさんの物がつくれるようになったのです。
そのあと、1800年代末から1900年代初めになると、いろいろな分野で技術 (ぎじゅつ) が大きく発展 (はってん) して、ベアリングも大量生産 (たいりょうせいさん) できるようになったんだよ。
クルマが発明(はつめい)されたのが1700年代後半、そして世の中に広がりだしたのが1900年代初め。
ますますベアリングが必要 (ひつよう) な時代になっていったんだ。
日本のベアリングの歴史 (れきし)
1950年以降 (いこう) 、
日本のベアリングは
大きく発展 (はってん) !?
日本でも昔からベアリングがあったんですか?
1916年に、日本精工 (NSK) が日本ではじめてベアリングの量産 (りょうさん) をスタートさせました。
しかし日本のベアリング業界が大きく発展 (はってん) するのは、それから30〜40年後のことでした。
なんでそんなに時間がかかったんですか?
それは、いまみなさんが当たり前に使っている生活家電 (かでん) が使われ始めた時代と関係 (かんけい) があります。
1955年ごろから電気洗濯機 (でんきせんたくき) ・電気冷蔵庫 (でんきれいぞうこ) ・白黒 (しろくろ) テレビが使われるようになって、1965年ごろからはクルマ・クーラー・カラーテレビが使われるようなりました。
このことがベアリングの発展 (はってん) に大きくかかわっています。
え?家電やクルマが使われるようになったのが、ベアリングの進歩とどんな関係 (かんけい) あるの?
家電やクルマが社会全体に広まっていくと、より高性能 (こうせいのう) な製品が求められるようになりました。たとえばクーラーは、部屋をすずしくすることだけでなく、「耐久性 (たいきゅうせい) 」 (こわれずに長く使いつづけられるじょうぶさ) や、「省エネ性能 (せいのう) 」も大切ですよね。家電やクルマの進化に合わせて、その中に入っているベアリングも、より高性能 (こうせいのう) なものが開発されていったのです。
ほかにも、家電やクルマに求められた性能 (せいのう) のひとつに静粛性 (せいしゅくせい) があるよ!静粛性 (せいしゅくせい) は「機械 (きかい) が動いた時の音のしずかさ」のこと。
当時は海外のベアリングを使っていたんだけど、日本人が満足 (まんぞく) するようなしずかさではなかったんだよね。
そう、ベアリン君の言う通りです。
そして海外の会社でも作れないような静粛性 (せいしゅくせい) のすぐれたベアリングを、日本の会社ががんばって開発 (かいはつ) しました。
日本の会社がそんなにすごいベアリングを作ったんだ!
1950年〜1960年頃ごろ、日本の家電にしずかさがもとめられたのは、日本人の国民性 (こくみんせい) とも言えます。日本は国土がせまいため、場所によっては家と家との間の距離 (きょり) が近く、そのため、ご近所さんにうるさい音でめいわくをかけないようにしていました。まわりの人への思いやりが、ベアリングの発展 (はってん) に影響 (えいきょう) したのかもしれません。
今、おうちにある冷蔵庫 (れいぞうこ) や洗濯機 (せんたくき) が高性能 (こうせいのう) で使いやすいのも、この時、がんばった人がいるからだよね!
なるほど! うちの冷蔵庫 (れいぞうこ) はしずかだもんね!
世界で通用する日本のベアリング!
日本のベアリングが家電やクルマの性能 (せいのう) に役立っていたんだね。
でもなんで日本のベアリングが機械 (きかい) をしずかにすることができたの?
これもいい質問 (しつもん) ですね。
日本のベアリングがしずかさを実現したひみつは、「作り方」です。家電の音をしずかにするためには、ベアリングがスムーズに回って振動 (しんどう) やブレを少なくすることが大切です。このためには、転動体 (てんどうたい) であるボールを完全なまんまるの形に近づけることと、ボールが転がる表面をなめらかでツルツルにすることが必要でした。
日本では、1952年に表面を最高 (さいこう) になめらかにするための、超仕上げ (ちょうしあげ) 加工を自動化することに成功しました。これは当時、世界で日本だけがなしとげたすごいことだったんです。
超仕上げ (ちょうしあげ) ってすごい名前!自動化されるまえは、どうやってベアリングの仕上げをしていたんですか?
むかしは、ベアリングの金属 (きんぞく) の表面を、一つ一つ手作業でみがいてツルツルにしていました。
わ、たいへんそう……
手作業は時間と手間がかかるので、たくさんの数を作ることはむずかしいことでした。超仕上げ (ちょうしあげ) を自動化したことで、ベアリングが短い時間でたくさん作れるようになり、日本はモノづくり大国へとなっていきます。
世界中の機械 (きかい) に使われているベアリングの約4割が日本のすごい技術 (ぎじゅつ) を使って作られているんだって (※) !
※日本の技術 (ぎじゅつ) を使って海外の工場で作っている数
すごい!じゃあ日本では1年間でどのぐらいベアリングを作っているんですか?
現在 (げんざい) 、日本国内では年間20〜30億個 (おくこ) のベアリングが作られていて、そのうち40%以上 (いじょう) が海外へ輸出 (ゆしゅつ) されています。
ベアリングの生産 (せいさん) は、まさに日本が世界にほこれる産業 (さんぎょう) ですね。
もし日本のベアリングがなかったら、この世界は摩擦 (まさつ) だらけで、たいへんだったかもね!
みなさん、ステップ②もお疲れさまでした!
さてさてステップ③へ向けて、ベアリングクイズ〜
Bearing Quiz! ベアリング クイズ
大型バスの高さ (3.7mほど) よりおおきいベアリングがある?
答えは
ステップ3 数字で見るベアリング
を
読めばわかるよ!
ベアリングはかせとベアリン君が子どもたちの質問 (しつもん) に答え、
たとえ話や身近な例 (れい) を上げながら、ベアリングについてわかりやすく解説 (かいせつ) します。