リスクマネジメント

基本的な考え方

NSKは、内部統制の基本方針に基づき、執行部門が具体的なNSKグループのリスク管理体制を構築・運用しています。リスク管理の統括部門は、NSKグループが認識するリスクを分類・整理し、責任部署を定めグループ全体のリスクの回避・軽減や発生時の対策の統括を行っています。

体制

◆リスク管理体制

NSKは、グローバルなグループ経営と内部統制を機能させるために、明文化した基本方針に基づくリスク管理を行っていますが、その実効性をさらに高めるためにFY2024から3線ディフェンスの考え方をより明確にした新たな全社リスクマネジメント(ERM)の仕組みを開始しました。

新たな仕組みの運営上の大きな柱としては、層別管理の導入と未発生リスク管理の強化です。層別管理については、経営者のリスク認識と指示の下、グループ全体を対象として実施したリスク・アセスメントを通じて挙げられたリスクに対し、全社重要リスク、本部レベルリスク、現場レベルリスクの3カテゴリーに層別し、各リスクの対応責任を明確化しました。全社重要リスクは、発生可能性と影響度の評価に加え、経営会議にて重要度を勘案の上決定し、取締役会に報告しています。また、新しいリスク分類に従って抽出した各リスクに対し、リスクの回避・軽減・移転・受容の観点から対応策を決め、そのアクションと報告、さらにモニタリングと指示のサイクルをこれまで以上に徹底して廻すことで、未然防止の効果向上を図ることとしました。一方、インシデントが発生した場合は、当該インシデントに関連するリスク管理専門部門(事業本部・機能本部)が発生現場とともに迅速かつ適切な措置を講じることで影響の軽減を図り、さらに収束までの責任を担う体制を取っています。

また、内部監査部門(経営監査部)は、全社リスクマネジメント体制の仕組みの確認を行い、監査委員会に報告しています。

全社重要リスクの決定
リスク管理フロー
ERM(全社リスクマネジメント体制)
リスク管理体制

代表的リスクと軽減措置

リスク項目代表的なリスク内容対応策
①技術革新に係るリスク
  • 技術革新に伴う市場の変化や顧客の技術要求に開発対応が遅れるリスク
  • 中長期方針に基づく開発計画の管理・運営の徹底
  • オープンイノベーションやアライアンスの活用
②安全・防火および自然災害に係るリスク
  • 自然災害・パンデミック等へのBCP対応不備が操業に影響するリスク
  • 重大な労働災害が発生するリスク
  • 火災発生により操業が停止するリスク
  • 影響度分析を通じた優先付けと具体的対策の特定・実施
  • 重点拠点の管理体制強化と防止活動充実
  • グループ内教育活動の充実
③品質に係るリスク
  • 重大な品質問題の発生リスク
  • 品質保証体制の不備により問題への対応力が低下するリスク
  • 品質データの偽装、改ざんリスク
  • 過去案件の分析に基づく対応策の強化
  • 全社トレーサビリティシステムの導入による問題発生時の影響軽減
  • 情報共有と品質監査活動の充実、教育強化
④環境に係るリスク
  • 長期エネルギー削減施策の遅れが事業機会の逸失や企業価値毀損を招くリスク
  • 環境負荷物質の漏洩や排出基準超過が発生するリスク
  • エネルギー削減目標達成サイクルに基づく投資計画の実行
  • 重点拠点の管理体制強化と防止活動充実
⑤コンプライアンスに係るリスク
  • 各種法令や規制の変化への対応が遅れるリスク
  • 当社の製品が安全保障貿易管理上の懸念ユーザーに使用されるリスク
  • グローバルな税務課題に関する対応力が不足するリスク
  • グループコンプライアンス体制を通じた情報共有、教育研修の実施
  • 3つのディフェンスラインによる取り組み強化並びに顧客管理の徹底と定期的監査の実施
  • 国際税務対応リソースの拡充や親子会社間でのデータとリスク共有など税務マネジメント体制の強化
⑥人材・労務に係るリスク
  • グローバルに有能な人材の確保ができず事業拡大や戦略遂行に支障をきたすリスク
  • 働き方に対する価値観が多様化する中、人事諸制度、諸施策の見直しが遅れるリスク
  • 各国の労働関連法令に適宜対応できず、事業運営に支障をきたすリスク
  • 各国各地域や事業・機能の状況に応じた採用プロセスの強化とサクセッションプランニングの充実
  • エンゲージメント調査に基づくグループ内施策・アクションプランの策定と実施および啓発活動の強化
  • 各地域の人事部門との定期的情報交換とモニタリング、外部専門家との連携
⑦調達に係るリスク
  • 特定供給元への依存が円滑な調達に支障をきたすリスク
  • 代替品の検討、調達先の複数化、現地調達の推進
⑧DXや情報セキュリティに係るリスク
  • 基幹システムの導入に係る納期遅延とコスト増大リスク
  • サイバー攻撃や機密情報流出などの情報セキュリティリスク
  • プロジェクト管理の徹底と厳格な追加開発審査プロセスの構築
  • 計画的システム更新と定期的な脆弱性診断評価
  • 早期検知と対処能力の向上、早期復旧体制の強化
⑨中長期的な企業価値向上に係るリスク
  • 事業環境の想定外の変化により、中期経営計画の達成に支障を来すリスク
  • 株主・投資家や従業員等ステークホルダーとの対話が不十分なことにより企業価値向上や外部評価に影響を与えるリスク
  • 計画の達成度のモニタリングと変化が生じた際の新たな対応策の策定と実行
  • 各ステークホルダーとのエンゲージメント活動の活発化や開示・発信のレベルアップ