CEOメッセージ
100年、1000年先も選ばれ続ける企業を目指し
ポートフォリオ変革で収益基盤の強化を進めます
世界経済は、中国経済の減速、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、インフレの継続と高止まり、欧米各国における金融引き締め政策の影響などにより、先行きは不透明感を増しています。このような環境変化の中、当社では、サプライチェーンの再検証、そして原材料、エネルギーコストや賃金の上昇による売価方針の見直しなど、中期経営計画2026(MTP2026)策定時には想定していなかった新たな課題に対処しながら、中長期視点で事業・顧客・商品軸でのポートフォリオ変革を進め、収益力の強化とより強い事業基盤の構築を目指しています。
自動車事業においては、カーボンニュートラル社会の実現に向けクルマの電動化が加速しています。電動車の信頼性と効率向上に応える、当社のeAxle用の高速・耐電食軸受や低トルクホイールベアリング、電動油圧ブレーキシステム用ボールねじなどは、すでに市場から高評価をいただいています。電動化の進展は当社にとって大きなビジネスチャンスであり、新商品・新技術で差別化を図り、シェア向上と収益改善につなげていきます。
産業機械事業においては、ロボットの進化や生産技術の革新の中でより高い信頼性と効率性が求められています。当社が得意とする精密軸受や精機製品で、一歩先を行く技術提案を行い、成長市場であるロボットや半導体製造装置、工作機械などの加工技術の高度化への対応を進め、市場の成長を上回る成長を成し遂げていきます。
MTP2026では、ポートフォリオの変革を着実に実行することで収益力の強化を図ります。FY2017の売上高1兆円の構成比は、自動車事業と産業機械事業が70%対30%でしたが、MTP2026では産業機械事業の比率を高めていく方向でポートフォリオ変革を進め、収益体質を改善します。
収益力の強化と合わせて、資本効率の向上も図ることでROEの改善を目指します。資本政策としては、配当性向30~50%、総還元性向50%程度を目安として安定配当を継続し、機動的な自己株式の取得を掲げ、中期的な成長と還元のバランスを取り、資本を有効に活用した成長投資も進めます。デジタル技術による技術・生産・人などの経営資源の強化をはじめ、ベアリングの枠を超える新商品・新サービスで新たなビジネスを育てるための設備投資や、M&Aなどにも資金を有効に活用していきます。
これからも、当社は、未来志向の高い目標に向かって挑戦し、前進し続け、100年先、1000年先も社会から必要とされ、信頼され、選ばれ続ける企業を目指していきます。今後とも変わらぬご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。
取締役 代表執行役社長・CEO 市井 明俊
2023年10月