CEOメッセージ
「変わる 超える」への挑戦を続け、新たな「動き」で価値を生み出します
NSKは1916年に日本で初めて軸受(ベアリング)の開発・製造に成功して以来、100年以上にわたってモノの動きを支える技術に磨きをかけてきました。NSK製品は、自動車や工作機械、ロボット、風力発電から家電製品、医療機器などに至るまで、さまざまな領域で使われており、精密軸受やボールねじ、自動車用軸受、ボールベアリングは世界トップクラスのシェアを確保しています。
今、自動車業界では、世界各国で電動車への移行が進み、技術開発スピードも加速しています。この変化は、新たな技術の差別化や新製品の提案機会です。NSKでは電動化対応にリソースを注力し、開発力の底上げと仕事の進め方自体の変革に取り組んでおり、市場の評価も高い電動油圧ブレーキシステム用ボールねじなどの各種製品で、お客様の要求にお応えしています。また、従来の内燃機関を含む全方位戦略の方針の下、水素燃料自動車などの新しい需要にも対応しながら、製品・顧客ポートフォリオの変革を進め事業の安定と収益向上を図ります。
産業機械業界では、労働力人口の減少等を背景に自動化・AI化などのロボットの高度化が進み、半導体製造装置やロボット市場、工作機械などの分野で、精機製品や精密軸受は大きな成長を期待できます。再エネ・省エネなどの産業インフラの技術革新が進む中、再エネを活用した当社の脱炭素化を前倒しして進め、同時に、エネルギー削減に貢献する製品・サービスや、風力・水素関連ビジネス、さらにはクリーンテック領域での事業機会の拡大が見込まれます。NSKの優位性を保ちながら事業機会をしっかりと捕捉し、高収益製品・サービスの集中拡大を通じて営業利益率の向上につなげます。
中期経営計画「MTP2026」では、「Bearings & Beyond」をコンセプトに、収益を伴う成長を追求し、最終年度に売上高9,000億円、営業利益750億円、ROE8%の達成を目指します。産業機械事業の売上比率は、その長期的な成長力から自動車事業に並ぶ規模へと拡大させ、2030年度には約6割まで引き上げていく考えです。コア技術によるビジネス領域の拡大や新商品の育成に加え、状態監視ソリューションなどのコト売りも展開することで、既存製品の付加価値をさらに高めていきます。電動アクチュエーターなどのユニット製品やサービスなどの領域では、技術力や製品付加価値の向上につながるM&Aや協業の機会も模索していきます。
このように大きく変わる事業環境の中で、需要動向や事業環境に影響されにくい体質づくりを進めていきます。需要が下振れした時の耐性を高め、需要の安定時には10%を超える営業利益率を生み出す姿を目指し、収益性と資本効率の向上を図ります。
今後も、当社は、「変わる 超える」で新たな価値を提供し続けることで、社会から必要とされ、信頼され、選ばれ続ける企業を目指していきます。ステークホルダーの皆様には、今後とも変わらぬご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。
取締役 代表執行役社長・CEO 市井 明俊
2024年10月