NSKは、自動車のステアリングに取り付けられる新しいコンセプト“コンパクトで優れた静粛性・操舵性を実現”を持ったボールローラスライダー™の開発を行い、販売を開始します。
Global
ASEAN and Oceania
Middle East
Africa
プレスリリース
2005年06月17日
日本精工株式会社 CSR本部 広報部
~ 自動車のステアリング中間軸に、車体とハンドル間の相対的な動きをスムーズに吸収しながら、ガタのない状態でハンドルの操舵力を伝達できる「ボールローラスライダー™」を開発 ~
NSKは、自動車のステアリングに取り付けられる新しいコンセプト“コンパクトで優れた静粛性・操舵性を実現”を持ったボールローラスライダー™の開発を行い、販売を開始します。
NSKはステアリングコラム、ステアリングジョイントさらにはモーターの力でパワーアシストする電動パワーステアリング=EPS(Electric Power Steering)製品で世界一、二位を争う売り上げ規模の地位にあり、NSKのこれら製品の売り上げは合計で1000億円弱(2004年度)となっております。特にEPSの現在の市場規模はグローバルで2000億円位ですが今後7~8年間のうちに3倍の規模に急成長すると予想しております。
この中で、今回開発した中間軸用ボールローラスライダー™は、従来からステアリングの中間軸に取り付けられているスライダーとは異なる新しい発想の機構です。
NSKは、1960年代より自動車用ステアリングジョイントとともに中間軸の生産をして参りました。1996年には、乗用車用ステアリングコラムの中間軸に用いられる常時スライドタイプの樹脂コーティングスプラインを開発しました。これは、ステアリングジョイントが取り付けられる車体上部と、サブフレーム等の車体下部との相対的な動きを中間軸のスプライン軸部分で吸収するもので、静粛性を求められる車両に広く採用されてきました。
しかしながら、樹脂コーティングスプラインは、滑りによるスライドであるため、スムーズに動きかつガタを無くすための微妙な調整が必要でした。このため、より自動車の静かさと操縦安定性の向上を目指そうとした場合、従来と異なるスライド機構の開発が望まれていました。
NSKは、転がりによる摩擦コントロール技術を駆使し、転がりと滑りの両方の利点を採用したハイブリッドスライダー(ボールローラスライダー™)を開発しました。ボールローラスライダー™は、ボールによる転がり構造の採用により、軸のスムーズな伸縮による振動吸収と静粛性を向上、また操舵力をダイレクトに伝えるためにローラをキーとして機能させることで、ハンドルを操舵した際に応答遅れの少ない一体感のある操舵特性が実現できました。さらに、このようなハイブリッド構造にすることで、前述のニーズを満足しつつコンパクト化にも成功いたしました。
また、ボールローラスライダー™は、トルク負荷容量が大きいため、大きな操舵力を伝達する必要があるコラムタイプEPSにも使用することができます。
新規に開発しました技術および構造と、それにより得られる性能向上点は次のとおりです。
ボールローラスライダー™は、今回の発表に先立つ市場調査で大変良好であったため、NSKはそれぞれの優位点にフォーカスした販売活動を強化し、2008年には100万台分の受注を見込んでおります。
ステアリングシステムとはハンドル(ステアリングホイール)とタイヤをつなぐ舵取り装置を指し、大きく分けて3つの部分から出来上がっています。すなわち
に分かれております。
この舵取り装置にパワーをアシストする機能がつくとパワーステアリング、運転者の体にあわせてハンドルの位置を動かす機能がつくと、動かす方向によってチルトステアリングコラム(上下方向)、テレスコピックステアリングコラム(前後方向)と呼ばれるものとなります。