NSKは、高速性能を飛躍的に向上させた風力発電機専用の総ころ円筒ころ軸受を開発しました。
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プレスリリース
2005年02月22日
日本精工株式会社 CSR本部 広報部
NSKは、高速性能を飛躍的に向上させた風力発電機専用の総ころ円筒ころ軸受を開発しました。
近年、地球温暖化の原因となる炭酸ガスを発生させないクリーンエネルギーとして、風力発電は世界各国で急速に普及しております。さらに風力発電機は発電効率を向上させるため、1台当りの発電出力の増大化が進められており、これに伴いロータ径(ブレード長さ)およびナセル部(主軸、増速機、発電機等の収納部)のサイズも大型化が進んでいます。この結果、入力トルクおよび重量が増大するため軸受に負荷される荷重も年々増加し、荷重負荷能力の高い軸受が求められています。
荷重負荷能力の高い軸受として、風力発電増速機には従来から総ころ円筒ころ軸受が使用されており、この軸受は保持器をもたないため、転動体の個数を増やすことができ、そのためコンパクトでありながらラジアル荷重負荷能力に優れているという長所があります。しかしながら総ころ円筒ころ軸受は、転動体同士が回転中に直接接触することで、高速回転の場合には焼付きや摩耗が発生し、それが高速回転実現化の障害になっていました。そのために風力発電機増速機においても、総ころ円筒ころ軸受は比較的低速回転する部位に使用が限定されていました。
NSKは、高速回転部位にも適用できる総ころ円筒ころ軸受が実現すれば、軸受周辺構造のコンパクト化というメリットにつながることに着目し、このたび高速化に伴う課題を克服することで、高速性能を飛躍的に向上させた総ころ円筒ころ軸受を開発しました。
上記仕様によりNSKの風力発電機専用総ころ円筒ころ軸受の許容回転速度は約2.5倍(NSK従来品比)へと向上しました。
開発した風力発電機専用総ころ円筒ころ軸受において、転動体に耐焼付き性及び耐摩耗性向上を図った最新の窒化熱処理技術を採用、さらに転動体の端面形状を最適化する事で従来の総ころ円筒ころ軸受に対して使用可能回転速度及びアキシアル荷重負荷能力を大幅にアップさせました。その結果、風力発電機増速機の低速回転部位から高速回転部位までの全領域をこの風力発電機専用総ころ円筒ころ軸受でカバーする事が可能になりました。
NSKは地球温暖化対策に貢献する本製品の販売を2006年から開始し、2008年には5億円の売上を目指します。