Press Release

異物環境用ボールねじ「V1シリーズ」の販売開始

~ 異物環境下において耐久性の向上を達成 ~

NSKは、異物環境用ボールねじ「V1シリーズ」(特許出願中)を開発、販売を開始します。

異物環境用ボールねじ「V1シリーズ」

ボールねじは、大小様々な異物粉が周辺に付着するような過酷な環境下で使用されることがあります。

* (異物粉としては、金属・セラミックス・ゴム・木屑等の加工粉、溶接時のスパッタ粉、微細な電子チップ 等)

このような環境下では、標準のラビリンスシールを装着しているだけでは、異物がボールねじの内部に侵入することによって、転がり面やボールの異常摩耗やボール循環不良(玉詰まり)などを引き起こし、極めて短期間で損傷するという問題がありました。

従来は、特殊仕様としてねじ軸上に付着した異物を履き取るワイパーシールの装着や、蛇腹などのカバーでボールねじを覆うなどの方法を採用していましたが、それらの対策には以下の問題点があります。

  • 現在実用化されている、ワイパーシールなどでは、ねじ軸全周に均一に接触させることが難しく、シール性が不完全である。接触面積が多く摩擦が大きくなり、特に高速時の発熱が大きい。
  • 装置の構造上、充分なカバーを設置できない場合がある。カバーを設置できても、細かな異物粉や大量の異物粉の場合には、異物の侵入を完全には防止できない。カバーの高速耐久性が低い。

上記の課題に対して、ボールねじ周りが異物粉にさらされても、高い防塵性を有し寿命が長く、摩擦トルクが小さく高速にも長尺にも対応可能な製品が求められていました。

NSKはこのようなご要望にお応えするため、低摩擦トルクで従来品よりも飛躍的に防塵性を高めたV1シールを開発し、異物環境下での長寿命を実現したボールねじ「V1シリーズ」として商品化しました。

異物環境用ボールねじ「V1シリーズ」の特長は次のとおりです。

【特長】

  1. 平板状のリップ接触型高防塵V1シール(特許出願中)の採用と溝形状の改良により、異物通過量が標準仕様に比べ、1/15以下、従来のワイパーシールに比べても約1/5に低減。
  2. リップ部の形状・材料の最適化により、高防塵性・高耐久性と低摩擦トルクの両立を実現し、シールの摩擦トルクを大幅に低減。
  3. 潤滑ユニット「NSK K1™」により、ボール走行部と高防塵V1シールのリップ部の潤滑性・耐久性が向上し、異物粉環境下での寿命を大幅に向上。
    (弊社評価試験で、微細鉄粉環境下で4倍以上の耐久性向上が確認されています)
  4. 最大5mの長尺ボールねじに適用可能。
  5. BSSシリーズと同一の循環機構の採用により、許容DN値は15万となり、最大150m/min.の超高速・低騒音送りが可能。
  6. 発表済のNSKリニアガイド「V1シリーズ」との組み合わせで、異物環境用の長寿命高速送り駆動系が実現。

【主な用途例】

レーザ加工機、タイヤバフ機、木工機械、パンチンプレス機、溶接ライン設備、電子部品装着機、その他搬送装置など

異物環境用ボールねじ「V1シリーズ」は、軸径32mmから50mm、リード10mmから50mmの6型番の販売を2005年11月から開始します。販売目標としては、3年後に5億円を目指します。

NSKでは、異物環境用ボールねじ「V1シリーズ」を、10月12日から14日まで開催される「関西機械要素技術展」に出展します。

異物環境用ボールねじ V1シリーズの構成

異物環境用ボールねじ V1シリーズの構成