Press Release

「ナット冷却ボールねじ」を商品化

~ 工作機械の高速化・高精度化に対応 ~

日本精工株式会社(取締役 代表執行役社長 大塚紀男、以下NSK)は、工作機械の高速・高精度化の進展に対応するため、ナット部に冷却機構を設けた「ナット冷却ボールねじ」を商品化しました。NSKは本製品を2010年5月に販売開始し、以降ラインナップを拡大し、2012年に10億円の売上を目指します。

ナット冷却ボールねじ

NSKは、ねじ軸の中空穴に液体を流すことで冷却する「中空軸ボールねじ」を1980年代より販売し、工作機械の高速化・高精度化に対応してきました。近年、自動車や航空機の部品加工を中心に工作機械では、生産性向上のため、加工対象を送る速度の高速化が一層進んでいます。また、金型加工や微細加工向けの工作機械では高精度化が進んでおり、精度への悪影響を防ぐため、ねじ軸に加え機械全体の温度変化の抑制が求められています。風車設備や鉄道車両など、大型の製品需要も大幅に増加しており、大型の工作機械には、高速化が進展しています。

このような工作機械の高速化・高精度化に対応するため、安価で簡易・コンパクトに冷却機能を高める新冷却システムのニーズが高まっています。

【製品の特長】

ナットを冷却しても予圧荷重が増加しない予圧形式 【特許出願中】
ナットを冷却すると、その収縮によって予圧荷重が増加することがあり、これに伴いボールねじの予圧トルクの増大や寿命の低下などが生じます。本製品では予圧荷重変動を解析し、ナットを冷却しても予圧荷重が増加しない予圧形式を採用しました。
安価で簡易・コンパクトなナット冷却構造
冷却構造として、ナット内に設けた貫通穴に冷却液を流す方式を新設計しました。これにより、ねじ軸の中空穴加工に比べ大幅なコスト削減が可能となりました。従来品とナット外径寸法が変わらないことで、置換えができます。また、ナットフランジ外周に設置した給排油穴に配管を接続するだけで、冷却液の供給を簡便に行うことができます。

開発の背景

開発の背景

特長:従来の中空軸ボールねじと同等以上の冷却能力

冷却方式別の軸の温度上昇試験結果

冷却方式別の軸の温度上昇試験結果
ナット冷却時の軸の温度上昇値は、計算通り軸芯冷却と同等レベルとなった

特長:テーブルへの熱影響の遮断

温度飽和時のテーブルの温度分布

温度飽和時のテーブルの温度分布