Press Release

「高密封性ハブユニット軸受」を開発

~ 過酷環境での耐久性と走行抵抗低減に貢献 ~

高密封性ハブユニット軸受

日本精工株式会社(本社:東京都品川区、代表者:取締役 代表執行役社長 大塚 紀男、以下NSK)は、過酷環境下での高い信頼性と摩擦損失の低減を両立した「高密封性ハブユニット軸受*」を開発しました。NSKは、新興国をはじめとしたグローバル市場にて本製品の拡販を図り、2015年に本製品の売上として、30億円を目指します。

* タイヤホイールに取り付ける部品と車体へ取り付ける部品を一体化したユニット軸受

低トルクHUBキャップ

ハブユニット軸受は車輪の中心にあり、車体を支える重要な基幹部品である事から、非常に高い信頼性を求められています。新興国に多く見られる未舗装路や冠水路、あるいは寒冷地域での積雪路など、ハブユニット軸受は泥、砂利、水という過酷な環境に曝されます。

また、近年の環境対応に伴うCO2排出量削減要求やガソリン価格高騰を受け、クルマには燃費改善が急務になっています。対応策の一つとして、エンジンからタイヤまでの全ての回転部分の摩擦(フリクション)を低減し、走行抵抗を低減することが求められています。

外部からの異物混入を防止する手段として、軸受の車体内側と車体外側にシールを装着することは広く用いられておりますが、シールの摩擦によるフリクションが課題となっていました。また、別の手段として軸受の車体内側に金属性のキャップを嵌合する形式も用いられていますが、十分な密封性を確保することが困難であり、また、車輪速センサと磁気エンコーダの間に金属性のキャップが介在することで、正確な車輪速の測定が困難になっていました。

NSKは、ゴムを加硫接着した非磁性体の金属キャップを新開発し、高い密封性による信頼性確保と低摩擦損失を両立させた「高密封性ハブユニット軸受」を開発しました。

製品の特長

嵌合部にゴムを加硫接着した非磁性体金属キャップ
過酷環境下での信頼性の向上
嵌合部にゴムを加硫接着した非磁性体金属キャップにより高い密封性を確保し、従来比7倍の高密封性を実現しました。これにより、泥水、雪、砂などの異物の軸受内部への浸入を防止します。
従来比20%アップの高磁力エンコーダを採用
高磁力エンコーダの採用による軸受の小型化
従来比20%アップの高磁力エンコーダを採用し、キャップを介した回転速度検出を可能としました。
これにより、磁気エンコーダと車輪速センサのクリアランス(すきま)増加に伴う磁力エンコーダの大型化を避け、軸受を小型化します。

摩擦損失の抑制
車体外側のシールへの低フリクション技術の活用と、車体内側へのキャップの採用により、密封性を向上させながら走行抵抗低減にも貢献します。

高密封性ハブユニット軸受


高密封性ハブユニット軸受
車体内側にゴム嵌合を加えたキャップ、車体外側をシールとした泥水対策
⇒高い密封性を確保、フリクション抑制(車体内側にシール摩擦なし)

ハブユニット軸受の密封性(エアリークテストによる密封性評価の結果)


ハブユニット軸受の密封性(エアリークテストによる密封性評価の結果)
ゴム嵌合により高密封性ハブユニット軸受は7倍の密封性を有する

高密封性ハブユニット軸受の車輪速センシング


高密封性ハブユニット軸受の構造
課題
磁気エンコーダと車輪速センサーの間に密封キャップが介在するため、エアギャップが大きくなる。そのため、センサ検出位置での磁力が小さくなり、正確な車輪速センシングが困難となる。
高磁力磁気エンコーダの採用
高磁力磁気エンコーダの採用により従来比で磁力が20%増
磁気エンコーダの磁力UPにより、軸受のコンパクト化を図りながら、車輪速の検出を可能としました