日本精工株式会社(本社:東京都品川区、代表者:取締役 代表執行役社長・CEO 内山 俊弘、以下NSK)は、製鉄設備に使用される圧延機*1ワークロール用の新製品「長寿命・耐水グリース密封型四列円すいころ軸受」の販売を開始しました。本製品は、新開発グリースを採用することによって、過酷な使用環境により軸受内に水が浸入する場合において、寿命延長が可能となりました。また、長寿命化により軸受の製造・廃棄する際に発生するCO2 の削減を図るとともに、設備の稼働率向上、メンテナンスコストの削減に貢献します。
*1) 圧延機(図1)は二つのロール間に高熱又は常温の金属を通して所定の形状に仕上げる設備。
開発背景
製鉄設備の圧延機ワークロール用軸受 (図2)は大きな荷重を受けた状態で、高速回転で使用され、かつ高温で更に水、鉄粉が混入するなど過酷な環境で使用されます。特に冷却水が軸受内に浸入し潤滑不良を起こし、早期損傷(はく離*2、焼付き、錆など)が発生する場合があります。その対策として密封設計とともに水混入侵入の影響を最小化するグリース技術を活用した製品開発を進めてきました。
*2) 材料疲労によって金属表面がウロコ状に剥がれる現象。
特長
- 1. 密封設計及び負荷能力最大化
- (1) 密封化により水浸入の抑制及びメンテナンスに使用するグリース使用量を削減します。
- (2) 軸受内部の設計最適化により定格荷重(負荷能力)を最大化します。
- 2. 潤滑性能の向上(耐水グリースの開発)
- (1) グリース組成の最適化により、軸受の軌道面ところの間に、厚い油膜と保護膜を生成させ金属接触を防ぎます。
- (2) 特殊添加剤の配合により錆び発生を防止します。
本製品は過酷な水環境下における寿命を最大化します。ワークロール軸受の実働時間が8ヶ月未満の寿命に対して16ヶ月以上(2倍以上)を達成します。
効果
軸受の長寿命化により使用する資源を減らし、地球環境保護(CO2削減、省エネ)に貢献するとともに、製鉄設備の安定稼動に寄与します。NSKは、今後も事業を通じて持続可能な社会に貢献していきます。
NSKについて
NSKは、1916年に日本で最初の軸受(ベアリング)を生産して以来、100年にわたり軸受や自動車部品、精機製品などのさまざまな革新的な製品・技術を生み出し、世界の産業の発展を支えてきました。1960年代初頭から海外に進出し、現在では30ヶ国に拠点を設け、軸受の分野で世界第3位、また電動パワーステアリング、ボールねじなどにおいても世界をリードしています。
企業理念として、MOTION&CONTROL™を通じて円滑で安全な社会に貢献し、地球環境の保全をめざすとともに、グローバルな活動によって、国を越えた人と人の結びつきを強めることを掲げています。2026年に向けてNSKビジョン2026「あたらしい動きをつくる。」を掲げ、世の中の期待に応える価値を協創し、社会への貢献と企業の発展の両立を目指していきます。