Press Release

高信頼性 鉄道駆動装置用軸受を開発

~鉄道駆動装置の省メンテナンスに貢献~

日本精工株式会社(本社:東京都品川区、代表者:取締役 代表執行役社長・CEO 内山 俊弘、以下NSK)は、信頼性をより一層高めた鉄道駆動装置用軸受を開発しました。本開発品の駆動装置小歯車用軸受は、取り扱いの容易さと駆動装置特有の過酷な環境下でも長期間使用できる高信頼性により駆動装置の省メンテナンス化、鉄道車両のライフサイクルコスト*の削減に貢献します。また、駆動装置大歯車用軸受は、豊富な実績を持つ高信頼性仕様のサイズ拡充を行います。NSKは、2026年に向けてNSKビジョン2026「あたらしい動きつくる。」を掲げ、世の中の期待に応える価値を協創し、社会への貢献と企業の発展の両立を目指していきます。本製品の投入により、2026年度までに、鉄道関連製品の売上倍増を目指します。(2018年度比)

* ライフサイクルコスト: 鉄道車両の導入から運行や維持、廃却に必要な費用

高信頼性 鉄道駆動装置用軸受

開発の背景

近年の鉄道業界における環境保全とライフサイクルコスト削減要求の高まりを背景に、駆動装置用の軸受には、これまで以上に高信頼性や省メンテナンス性が必要とされています。

鉄道車両を駆動する主電動機の出力を車軸へ伝達する駆動装置(歯車減速機)は、線路と車輪の間で発生する大きな振動を受けます。駆動装置は小歯車軸と大歯車軸があり、この駆動装置の歯車軸を支持する軸受には、過酷な振動下でも破損せずに長期間使用できる、高い信頼性が要求されます。また、定期的に確実なメンテナンスを施すことも信頼性確保のうえで重要です。

NSKは、駆動装置の小歯車に使用される円すいころ軸受を高速車両など様々な鉄道車両用に供給し、多くの実績を有しております。しかし、円すいころ軸受を使用する形式の駆動装置ではメンテナンス時にエンドプレーと呼ばれる、歯車軸の軸方向動き量の調整を熟練作業者が慎重に行う必要があり、多くの人手とコストを要することが課題でした。

小歯車用開発品の特長

1. 省メンテナンスを実現
小歯車に使用される従来の円すいころ軸受は、エンドプレーの調整が必要でした。NSKは、出荷時点にすきまが調整されており、軸受を取り付けるだけで最適なエンドプレーとなる四点接触玉軸受と、併せて使用される円筒ころ軸受を開発しました。
省メンテナンスを実現
2. 高強度保持器を採用
駆動装置用軸受は、線路からの大きな振動、衝撃を受けるため、保持器強度が重要です。開発品は、NSKが駆動装置用円すいころ軸受で培った豊富な実績や知見を元に開発設計した高強度保持器を採用しており、最適ポケット隅R形状とリング案内により保持器発生応力を75%低減しました。
高強度保持器を採用
3. 内輪の耐クリープ性を向上
開発品は、内輪に寸法安定化熱処理を採用することにより、高温下での長期使用における内輪の寸法変化を抑制し、耐クリープ性を向上させています。

大歯車支持用軸受のサイズ拡充

大歯車を支持する円すいころ軸受においては、多くの採用実績がある耐焼付き性などの高信頼性仕様を標準採用し、車両設計に合わせて軸受寸法を選択できるよう、サイズ拡充を行いました。

大歯車支持用軸受のサイズ拡充

リリース主要ラインナップ

高速車両から中低速車両向けの品種、及びサイズを17型番揃え、ラインナップを充実させます。全型番において高信頼性仕様を採用しています。

リリース主要ラインナップ

開発品の効果

本開発品は、駆動装置の省メンテナンス化、鉄道車両のライフサイクルコストの削減に貢献します。

NSKは、グローバルに高品質な鉄道関連製品の供給を通じて、安全で安心、快適な鉄道に貢献し、サステナブル(持続可能)な社会の実現を目指します。

NSKについて

NSKは、1916年に日本で最初の軸受(ベアリング)を生産して以来、100年にわたり軸受や自動車部品、精機製品などのさまざまな革新的な製品・技術を生み出し、世界の産業の発展を支えてきました。1960年代初頭から海外に進出し、現在では30ヶ国に拠点を設け、軸受の分野で世界第3位、また電動パワーステアリング、ボールねじなどにおいても世界をリードしています。

企業理念として、MOTION & CONTROL™ を通じて円滑で安全な社会に貢献し、地球環境の保全をめざすとともに、グローバルな活動によって、国を越えた人と人の結びつきを強めることを掲げています。2026年に向けてNSKビジョン2026「あたらしい動きをつくる。」を掲げ、世の中の期待に応える価値を協創し、社会への貢献と企業の発展の両立を目指していきます。