日本精工株式会社(以下、NSK)は、ボールねじの運動方向反転時の摩擦を安定化させることで、「工作機械の円運動における象限突起*1を低減するボールねじ技術」を開発しました。本技術は、ボールねじでは世界初の技術となります。2020年11月16日(月)~11月27日(金)に開催される「JIMTOF2020 Online第30回日本国際工作機械見本市」に本新技術を出展します。NSKは本ボールねじの新技術を適用した、新製品の市場投入を2021年に予定しています。
*1:象限突起:直行2軸による円運動において、ボールねじの運動方向が反転する際の摩擦によって運動誤差が生じ、この誤差を象限突起と呼ぶ。
開発の背景
近年、5軸加工機等に代表される工作機械は高精度化、金型加工面の高品位化を目指しており、送り性能のさらなる向上が求められています。なかでも、ボールねじ運動方向反転時の摩擦変動に起因する「象限突起」と呼ばれる運動誤差は、加工面に筋状の跡を残し、面品位の低下に繋がります。このため、象限突起に関する数多くの研究が行われており、数値制御(NC)による補正機能で対処がなされています。しかし、ボールねじの運動方向反転時の摩擦変動は予測が難しく、完全には補正しきれないため、根本的な対策が求められていました。
新技術の特長
- ボールねじの運動方向反転時の摩擦変動を低減
- NSKが独自に開発した摩擦制御技術と高精度評価技術によって、ボールねじ固有の運動方向反転時の摩擦変動を大幅に低減しました。
新技術の効果
- 工作機械の送り性能向上、環境対応に貢献
- 象限突起と呼ばれる工作機械の円運動における運動誤差が減少し、加工面の高品位化が可能になります。仕上げ工程の短縮により、工作機械の省エネルギー化と生産性向上に貢献します。
用途
NSKについて
NSKは、1916年に日本で最初の軸受(ベアリング)を生産して以来、100年にわたり軸受や自動車部品、精機製品などのさまざまな革新的な製品・技術を生み出し、世界の産業の発展を支えてきました。1960年代初頭から海外に進出し、現在では30ヶ国に拠点を設け、軸受の分野で世界第3位、また電動パワーステアリング、ボールねじなどにおいても世界をリードしています。
企業理念として、MOTION & CONTROL™を通じて円滑で安全な社会に貢献し、地球環境の保全をめざすとともに、グローバルな活動によって、国を越えた人と人の結びつきを強めることを掲げています。2026年に向けてNSKビジョン2026「あたらしい動きをつくる。」を掲げ、世の中の期待に応える価値を協創し、社会への貢献と企業の発展の両立を目指していきます。