Press Release

プレスリリース

2022年03月23日

日本精工株式会社　CSR本部　広報部

高負荷駆動用ボールねじ向け長寿命化技術を開発

～産業機械の電動化と生産性向上に貢献～

  • 荷重バランスの最適化により、従来比寿命最大2倍
  • 長寿命化とダウンサイジングにより、省資源化に貢献

日本精工株式会社(以下NSK)は、産業機械で使用される高負荷駆動用ボールねじを長寿命化する技術を開発しました。NSKは本技術を適用した製品を通じて産業機械の電動化と生産性向上に貢献します。2022年6月に受注開始を予定、以降グローバルに本技術を展開します。NSKは本技術を適用した製品の売上として、2024年に1.2億円を目指します。

高負荷駆動用ボールねじ向け長寿命化技術

開発の背景

各国でSDGsやカーボンニュートラルへの取組みが進む中、多種多様な産業機械においては、さらなる環境への配慮や機能向上が求められています。射出成形機やサーボプレス機などでは、省エネの観点より、駆動方式が油圧式からサーボモータとボールねじを使用した電動式へ切替わりが進んでいます。また、自動車のEV化では、車体軽量化のために樹脂部品の採用が拡大し、形状複雑化や大型化が進んでおり、電動射出成形機の生産性向上への対応が求められています。

電動射出成形機の生産性向上のため、送り速度の高速化による「ハイサイクル化」が進んでいます。このハイサイクル化に伴いボールねじの単位時間あたりの走行距離が伸びるため、ボールねじの長寿命化が望まれています。

この度、NSKは電動射出成形機やサーボプレス機などのボールねじの長寿命化ニーズに対応可能な長寿命化技術を開発しました。

開発品の特長

ボールねじへの荷重が大きくなると、ボール循環回路毎の荷重バランスは不均一になります(図2)。特定の回路に負荷がかかりボール荷重が高くなると、ボールねじの寿命低下に繋がります。

そこで、NSK独自の高精度加工技術(専用加工機の開発)、解析技術(リアルデジタルツインの活用)、精密測定技術(加工データとの連動で測定精度向上)を融合し、各回路の荷重バランスを最適化して最大ボール荷重を下げることで、ボールねじの寿命を従来比最大2倍に延ばす技術を開発しました(図3)。

開発品の特長
  1. 従来比寿命最大2倍*
    *ボールねじの諸元および使用条件により1.1倍～2倍程度
  2. ダウンサイジングが可能
  3. 形状寸法は既存品と完全互換

開発品の効果

産業機械の電動化と生産性向上に貢献します。さらに長寿命化とダウンサイジングによる省資源化に貢献します。

対応範囲

  • ねじ軸外径：φ100～φ200
  • 型式：HTF-SRC型(順次対応型式を拡大)

NSKについて

NSKは、1916年に日本で最初の軸受(ベアリング)を生産して以来、100年にわたり軸受や自動車部品、精機製品などのさまざまな革新的な製品・技術を生み出し、世界の産業の発展を支えてきました。1960年代初頭から海外に進出し、現在では30ヶ国に拠点を設け、軸受の分野で世界第3位、また電動パワーステアリング、ボールねじなどにおいても世界をリードしています。

企業理念として、MOTION & CONTROL™を通じて円滑で安全な社会に貢献し、地球環境の保全をめざすとともに、グローバルな活動によって、国を越えた人と人の結びつきを強めることを掲げています。2026年に向けてNSKビジョン2026「あたらしい動きをつくる。」を掲げ、世の中の期待に応える価値を協創し、社会への貢献と企業の発展の両立を目指していきます。