2021年11月16日

エンジニアとつくるあたらしい企業広告 ~前編~

NSKは、2020年に「___ with Motion & Control」として企業広告をリニューアルしました。広告制作にはNSKのエンジニアが参画し、NSKの製品や技術を使った機構を用いて、今までなかった「動き」をつくることにチャレンジしました。
広告を通して、NSKが「あたらしい動きをつくる。」企業であることを伝えていきます。

2020年に発表したRunning篇は、NSKのベアリングを用いた機構で、走り抜けていく人の足跡をなぞるような動きをつくり出しました。

同年に電車内モニターで放映した広告映像は、(株)ジェイアール東日本企画が主催する「交通広告グランプリ2021」において「車両デジタルメディア部門」優秀作品賞を受賞。

そして、今年11月に、第二作目となるConnecting篇が完成しました。デザインファームと協業しながら、今年もエンジニア参加型で企業広告を制作しました。本プロジェクトに参画したメンバーに話を聞きました。前編、後編の2本に分けて、メンバー8人の想いを紹介します。

プロフィール

福沢 孝雄

福沢 孝雄

産業機械技術総合センター
産業機械軸受技術センター
産機軸受開発室

河野 右近

河野 右近

産業機械技術総合センター
産業機械軸受技術センター
風力・大型機械技術部

 河合 類斗

河合 類斗

産業機械技術総合センター
直動技術センター
BS技術部

角戸 弘輝

角戸 弘輝

新領域商品開発センター
技術開発第一部

さまざまな製品・技術を担当するエンジニア8人が集まり、頭を悩ませたアイデア出し

NSKの主力製品であるベアリングも含め、直動製品、メカトロ製品など、さまざまな製品・技術の洗い出しを行い、製作する機構に何がどのように活かせるかを検討しました。

福沢 孝雄

福沢 NSKの製品は、機械の高速化への対応や製品寿命の長期化など、どちらかというと一般の方には分かりづらい渋い技術が多いので、NSKとして伝えたい技術と広告として伝わりやすい技術のマッチングが難しい点でした。また、今回のプロジェクトにはさまざまな部署からメンバーが集まっていたので、NSKはベアリングだけでなく、幅広い分野でさまざまな製品が活躍していることを改めて感じました。

河野 福沢さんの言う通り、ベアリングは基本的に機械などの中に組み込まれて摩擦を減らす役割を果たす製品であり、「縁の下の力持ち」と言われるように見えないところで支えています。それに比べて、今回使っているモノキャリア™メガトルクモータ™は目に見て分かりやすい動きがあり、映像になったときにも伝わりやすいのではないかと思いました。

前作のRunning篇の映像閲覧者へのアンケート結果に「なんだかすごいけれど、分かりづらい」という回答が多くあったので、今回は、何をしているのかが分かりやすいこと、また何回も見てもらえるような動きであることという目標をメンバーで定め、検討を進めてきました。

河野 右近

福沢 製品・技術が出揃ったところで、次に、NSKの技術を用いて、どんな機構でどんな動きをつくるかを検討しました。正解がない中で、また業務で行っている製品の性能評価試験のように定量的にアイデアの良し悪しを示すことができない中で、自分の考えているアイデアをメンバーに「いいね!」と思ってもらうには、イメージの視覚化と言語化、またそこに込めた想いをしっかりと伝えることが重要だと気付かされました。今までなかったあたらしいアイデアを相手に正確に伝えることの難しさを感じながらも、右脳をフル活用してスケッチし、左脳をフル活用して論理的に説明することに努めました。なぜこの形状にするのか、なぜこの作業が必要なのかを皆で確認しながら進めてきました。今回のプロジェクトを通して、全ての作業に意味があるということを改めて感じ、この姿勢は今後の業務にも活かしていきたいと考えます。

河野 自分には思いつかないような考えを持っているメンバーたちと議論ができて、ワクワクしましたし、非常に刺激を受けました。偶然に起こる動きではなく、NSKの総合力を活かして再現性のある動きをつくりあげることができて、良かったです。動画をぜひ何度も見ていただけると嬉しいです。自分も多角的な視点から物事を考えることを意識して、あたらしい動きを生み出せるような開発に取り組んでいきたいと思います。

NSKの総合力が活かされてカタチにできた動き

度重なる議論を経て、今回の機構にはモノキャリアとメガトルクモータを使うことに!そもそもどんな製品なのでしょうか。

河合 モノキャリアは、モータなどの回転運動を直線運動に変換することができる製品です。半導体の製造装置や自動車の生産設備、医療機器などのさまざまな分野で使われており、モノキャリアを使うことで、きめ細やかに、すばやくモノを動かすことができます。
モノキャリアは、世界に先駆けてNSKが独自開発した製品で、ボールねじ、リニアガイド、サポートベアリングといったNSKのさまざまな製品や技術が組み合わされており、まさにNSKの長年培ってきた技術が結集した製品です。各製品を一体化することで、手間のかかる設計や組付けを省き、使いやすさを向上させたほか、一体構造により軽量化・小型化などにも貢献しています。

モノキャリア

モノキャリア

河合 類斗

今回の広告映像では、複数のレールの動きをコントロールして、ボールをスムーズに転がしていく姿を映し出しています。レールの下にある上下に動く装置にモノキャリアが使われており、モノキャリアの精緻な動きによって落ちることなくボールを転がすことができています。
レールを転がるボールは、外から力を与えているわけではなく、傾斜したレールの上を重力に従って自然に転がっています。普段の業務では、ある対象を動かしコントロールするためにはどうすればいいかを検討することが多いですが、今回のように自然に動こうとするものをスムーズにコントロールするためにはどうすればよいかを考えるというのはとても新鮮で、エンジニアとして新たな視点を持つことができました。

メガトルクモータ

メガトルクモータ

角戸 メガトルクモータは、ベアリングとモータとセンサを一体化させた製品です。メガトルクモータは大きな負荷を支えながら正確な回転運動ができるので、動かしたいモノを直接乗せ、すばやく動かし、ピタリと止めることができます。高精度な位置決めを求められるシーンで使われることが多く、半導体製造装置、電子部品の検査や搬送装置、医療分析機器などに使われています。
今回の機構では、メガトルクモータが精緻に回転し、ピタリと止まることにより、周辺のレールにぶつかることなく、ボールが乗ったレールを次の走行レールに橋渡しすることができています。限られたスペースの中でこの動きを実現できたのは「置いて乗せるだけ」でよいメガトルクモータのシンプルさが活かされていると思います。実際、今回の機構全体のサイズは約1m×1m程度のコンパクトなものとなりました。モノキャリアとメガトルクモータのどちらの技術も持っているNSKだからこそ、カタチにできたのではないかと思います。

メガトルクモータは、最終的には機械や装置の中に組み込まれて使われるので、組み込まれた後の様子を目にする機会はあまりありませんでした。今回、この機構では、メガトルクモータが活躍している姿を見ることができ、心から嬉しかったです。

角戸 弘輝

「エンジニアとつくるあたらしい企業広告 ~後編~」では、他のメンバー4人が登場!「Connecting」に込めたメッセージや企業広告の制作の経験を通しての想いを紹介しています。こちらもぜひお読みください!