コンプライアンス
基本的な考え方
NSKでは、「コンプライアンス」をコアバリューの一つとして位置づけています。NSKにとっての「コンプライアンス」とは、法令遵守のみならず、社内規程、社会規範、企業理念に従って、誠実かつ公正な活動を行い、社会からの信頼を得て、国内外の経済、社会に貢献することを意味しています。
◆NSK企業倫理規則(2002年2月22日制定、2017年6月23日改定)
NSK企業倫理規則は、NSKグループが企業理念体系に則り、様々な企業活動を行っていく上で、会社および役員・従業員が遵守すべき普遍的な考え方を定めたものです。NSKグループの全ての役員・従業員に適用され、違反した場合は就業規則に基づく懲戒処分などの対象となります。
適用範囲:日本精工(株)およびその連結子会社、NSKワーナー(株)ただし、独自に規則を制定している会社を除く
[1] NSK企業倫理方針
- 国際社会や地域社会において、日本精工株式会社およびその関係会社が、誠実、公正であり、尊敬かつ信頼される企業として発展し続けることをめざす。
- あらゆる企業活動において関係法令を遵守する。また、企業市民の一員として高い倫理観を持って行動する。
[2] コンプライアンスのための行動指針
- 競争法の遵守
競合他社と価格や販売先などについて取決めをしたり、取引先の販売価格などを制限したりするなどの行為をせず、公正かつ自由な競争を行い、適正な取引を実行する。 - 輸出入関係法令の遵守
自由でグローバルな企業活動には、国際的なルールの遵守が不可欠であるため、輸出入関係法令を遵守する。 - 贈収賄行為の禁止(接待、贈答などの取扱い)
接待、贈答の授受に関しては、贈収賄行為はもとより、社会常識を逸脱した行為もしない。特に、公的機関の役職員に対する接待、贈答は、原則禁止とする。 - 公的機関との取引および政治献金の取扱い
公的機関との取引においては関係法令を遵守する。また、政治献金についても、関係法令を遵守し、不明朗な支出や利益供与をしない。 - 正確な記録および処理
すべての企業活動は、帳簿や記録に正確に留められ、関係法令に基づき適切に処理されなければならない。また、監査等においては、内外の監査人等に誠実に協力する。 - インサイダー取引の禁止
未公表の内部情報を知りながら株式等を売買したり、当該情報を家族を含む第三者に提供したりしない。 - 知的財産権の取扱い
発明など知的財産の創出およびその適切な保護と活用に努めるとともに、知的財産権の取扱いに十分注意する。また、第三者の知的財産権を侵害しない。 - 違法行為・反社会的行為の禁止
違法行為や反社会的行為に対しては、断固たる姿勢を貫き、市民社会の秩序や安全に脅威を与える勢力および団体とは関係を持たない。 - 会社財産の保護
会社財産は、会社業務を遂行する目的で適正に利用し、保護されなければならない。会社の施設、備品、用具類、原材料類、補給部品類およびネットワークシステム類の不正使用や浪費をしない。 - 企業秘密・個人情報の取扱い
会社、顧客、業者等に関する企業秘密を不正な手段によって取得したり、外部に漏らしたり私的に利用したりしない(在職中のみならず、退職後も同様とする。)。また、個人情報は、プライバシー保護の観点からも適切に管理する。 - お客様との関わり
常に高品質で安全、安心な製品・サービスを提供するとともに、公正な取引、誠実な姿勢、積極的な提案を常に心掛け、NSKブランドに対する信頼を高めるべく行動する。 - 調達取引先との関わり
調達取引先の選定については、公正な評価基準に基づいて行い、取引にあたっては関係法令を守り、常に対等な立場で調達先と接する。また、優越的な立場を利用して私的な利益を求めたり、受けたりしない。 - 競合他社の信用毀損行為の禁止
自由競争の原則に基づき競合他社と公明正大な企業活動を展開する。競合他社を誹謗、中傷したり、競合他社の製品等に関して客観的な事実に基づかない情報を流布したりして、競合他社の信用を毀損しない。 - 差別の禁止と健全な職場環境の整備
個人を尊重し、人種、身体的な特徴、信条、性別、社会的身分、門地、民族、国籍、年齢、婚姻、障害などに基づく不当な差別をしない。また、受け手が不快と感じるような行為をしない。 - 労働における基本的権利の尊重
強制労働、児童労働は禁止とする。また、労働関係法令を遵守し、労働者の権利を尊重する。 - 地球環境の保全
地球環境に関する法令や社内規程を遵守する。また、自らの仕事が地球環境に与える影響を意識し、環境汚染を防ぎ、人の健康や生態系を守り、将来の世代により良い地球環境を引き継ぐように行動する。
[3] 懲戒処分等
本規則に違反した従業員等は、就業規則等に基づく懲戒処分等の対象となる。
体制
◆コンプライアンス推進体制
法務コンプライアンス本部は、NSKグループのコンプライアンス体制を強化するための方針を策定し、これに基づく諸施策を実施するとともにその状況を継続的に監視します。法務コンプライアンス本部の活動はコアバリュー委員会に定期的に報告され、同委員会は、コアバリューの一つであるコンプライアンスの推進・強化のための方針の議論や関連リスクの共有を通して、全社的なコンプライアンス課題の解決に向けた提言と進捗のモニタリングを行います。
日本の各部門、各事業所、NSKグループ会社および日本以外の各地域統括拠点にコンプライアンス責任者を選任し、コンプライアンスに関連する定期的な報告やリスク管理などを行っています。
コアバリュー委員会の詳細は、コーポレートガバナンス体制をご覧ください。
◆グローバル法務・コンプライアンス会議
NSKグループでは、グローバル・コンプライアンス体制を強化するため、グローバル法務・コンプライアンス会議を年2回開催しています。この会議では、米州、欧州、中国、アセアン、インド、韓国のコンプライアンス責任者が集まり、コンプライアンス研修の実施手法や内部通報制度の運用といった各国・地域のコンプライアンスの取り組みについて報告を受け、その内容を全体で協議するとともに、各国・地域の対応すべき法律や規制などの情報を共有し、今後の取り組みに役立てることを目指しています。
NSKグループコンプライアンス体制
目標と実績
◆中期経営計画2026(MTP2026)目標、各年度の目標と実績
方針 | 高い倫理観の保持・コンプライアンスの徹底による国際社会や地域社会からの信頼向上 | ||
---|---|---|---|
MTP2026 | 目標 |
|
|
2022年度 | 目標 |
|
|
実績 |
|
| |
2023年度 | 目標 |
|
|
規程類の整備、研修・啓発活動
◆コンプライアンスガイドブックの配布
NSKグループでは、「競争法遵守規則」を制定し、競合他社と価格や販売先などについて取決めや情報交換をすること、販売店の販売価格を制限することなどを禁止しています。また、競合他社との接触を原則禁止したうえで、役員・従業員が、業務上やむを得ず、競合他社と接触する可能性のある会合に参加する場合は、事前申請と事後報告を義務付けています。
また、毎年、営業部門を中心に、競争法および他のコンプライアンス関連テーマを含めた研修を国内外で実施しています。研修では、過去のカルテル事件の振返り等を通じ、事件の風化防止を図っています。
◆贈収賄の防止
NSKグループでは、「贈収賄防止基準」を制定し、贈収賄行為はもとより、社会常識を逸脱した接待・贈答を禁止しています。特に、公的機関の役職員に対する接待・贈答は、原則禁止としています。
各国・地域では、「贈収賄防止基準」をもとに、現地の贈収賄規制を踏まえた「贈収賄防止規定」を制定したうえで、贈収賄防止に関する研修やeラーニングを定期的に実施しています。
◆インサイダー取引の防止
NSKグループでは、役員・従業員によるインサイダー取引を防止するため、「インサイダー取引防止社内規定」を制定しています。本規定では、未公表の内部情報を知りながら、株式を売買すること、家族を含む第三者に株式の売買を勧めることなどを禁止しています。またNSKグループの役員・従業員がNSKの株式を市場で購入することを禁止するとともに、売却する場合には、システム上で事前の許可申請をする義務を負うことなどを定めています。eラーニングなどの研修やポスター、「コンプラかわらばん」などの社内広報媒体による情報発信で周知徹底を図っています。
◆安全保障輸出管理
NSKグループでは、「外国為替および外国貿易法」に基づき、兵器の開発、製造、使用に転用可能な製品の輸出や技術の流出を未然に防止するための管理体制を強化しています。また、安全保障輸出に関する基本方針および管理体制を「安全保障輸出管理基準」に定め、NSKグループの輸出関連業務の信頼性の維持向上と法令違反のリスクの低減に努めています。
◆個人情報の保護
NSKグループでは個人情報の取得、管理及び保護に関する基本方針を定めています。業務実態に応じた個人情報保護のための内部管理体制を確立すると共に、個人情報の収集、利用、提供において所定の規則に従い適切に取り扱っています。従業員の監督、個人情報の処理を第三者に委託する場合においては当該委託先を監督し、個人情報等への不正アクセス、個人情報等の漏えい、紛失、破壊、及び改ざん等の防止に努めています。
◆反社会的勢力の排除
NSKグループは、取引関係を含め、反社会的勢力との関係を一切遮断して、企業活動における社会的責任を果たしていくことを基本方針としています。さらに、グループ全体として組織的に対応するために、本方針を「NSK企業倫理規則」に明記し、継続的に周知徹底および警察その他外部機関との連携を強化しています。なお、万が一、取引開始後にお取引先が反社会的勢力であると判明した場合に備えて、日本では契約書に暴力団排除条項を入れるなどの対策を行っています。
◆税務コンプライアンス
NSKグループは、グローバルに事業を展開する上で、事業活動を行う国や地域において納税義務を適正に履行することは、企業が果たすべき最も基本的かつ重要な社会的責任の一つと考えます。こうした認識のもと、「NSKグループ税務方針」(2018年3月制定)を定め、事業目的や実態の伴わない組織形態による租税回避は行わないなど、適正な税務処理に努めています。
◆各部門におけるコンプライアンスリスク低減に向けた取り組み
NSKグループでは、各部門におけるコンプライアンスリスクの低減を目的として、部門別のコンプライアンス研修を実施しています。営業部門では、2012年以降、競争法とカルテル事件の風化防止をテーマに研修を実施しています。2022年度は、独占禁止法、経費不正をテーマに開催しました。カルテル事件の事実と教訓を伝承するために2020年度から開始した「語り部活動」を継続して実施し、日本の全営業部門の従業員が受講しました。生産部門では、データ改ざん等の品質不正の防止をテーマに研修を実施しています。2022年度は、日本の3つの生産拠点でオペレータ層を対象とした研修を実施し、全員が受講しました。技術部門では、技術者倫理の醸成並びにデータ改ざん等の品質不正の防止をテーマに研修を実施しました。2022年度は国内の全技術部門の従業員が受講しました。また、NSKグループでは、役員・従業員のコンプライアンス意識をより一層高めることを目的として、「コンプラかわらばん」などの社内広報媒体による情報発信も行っています。
◆NSK企業理念の日
過去のカルテル事件から学んだ教訓を再認識し、NSKグループの全従業員が「カルテル事件を風化させない」という決意を新たにするために、また一人ひとりが企業理念を振り返り自らの行動規範とするために、公正取引委員会の立入検査があった7月26日を「NSK企業理念の日」として定めています。2022年度は、日本および各国の拠点で「社長メッセージ」「企業理念の解説」「カルテル事件の振り返り」に関する動画を視聴しました。その後、日本では、企業理念体系に則った行動に向けて、一人ひとりが想いを伝えること、傾聴することの重要性についてアニメーション形式で紹介しました。また、NSK企業理念の日をきっかけに自身の想いを共有する取り組みとして、「気になっていること」「変えたいこと」をテーマに各職場でグループディスカッションを実施しました。海外では、拠点の責任者のメッセージを視聴した後で、外部講師による講演、コンプライアンスに関するディスカッションなど、それぞれの拠点で独自の取り組みを実施しました。
「NSK企業理念の日」のアニメーション
モニタリング
◆NSK意識調査(コンプライアンス意識調査)
NSKグループで働く一人ひとりが成長し、やりがいを感じられる環境を整えていくこと、ならびにコンプライアンス意識の浸透度を測ることを目的に、人事部門と協働してNSK意識調査を実施しています。製造部門におけるコンプライアンス意識の向上、内部通報制度のさらなる信頼性の向上など、意識調査によって明らかになった課題に対する取り組みを行っています。
◆監査・点検
NSKの法務部コンプライアンス推進室では、2013年度より毎年、競争法(独占禁止法)の遵守状況に関する監査を実施しています。また、特定のコンプライアンス上のテーマに関するリスク点検を自己点検手法によって実施しています。
◆内部通報制度
NSKグループでは、NSK企業倫理規則やコンプライアンスに反する行為またはその恐れのある行為を知った場合、従業員が各国・地域に設置した内部通報窓口に通報することを社内規程で明確にし、従業員に周知しています。また、一部の国・地域では、サプライヤーからの通報も受け付けています。
日本においては、「公益通報者保護法」を踏まえた実効性のある制度となるよう、ホットライン運用規定を制定し運用しています。通報窓口は社内通報窓口、社外通報窓口を設置しており、24時間通報を受けつけています。通報者は匿名でも利用でき、各窓口に通報したことを理由に不利益な扱いを受けないことをルールとして定めています。通報された事案に対して、日本では法務コンプライアンス本部が、海外では現地法務部が、必要に応じ関係部署の協力を得ながら調査を行い、コンプライアンス違反が明らかになった場合は、速やかに必要な是正措置や再発防止策を講じています。
また、通報先を記載した名刺大サイズのカードを配布するなど、制度の周知に取り組んでいるほか、社内広報媒体で通報の件数や通報された事案への対策状況を公開することで、安心して制度を利用できる風土づくりに取り組んでいます。2022年度はグローバルで143件の通報を受けつけました。