環境マネジメント
基本的な考え方
世界で深刻化する気候変動などの環境課題に取り組み、地球環境を保全しながら発展する「持続可能な社会」の実現が人類共通の課題となっています。NSKグループでは、企業理念に「地球環境の保全をめざす」ことを掲げ、「環境」をコアバリューの一つに位置付け環境活動を推進することで、地球規模の課題に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献し企業価値の向上を図っています。
方針
NSKグループは、全ての事業活動に環境活動を反映させるため、1997年に環境方針と環境行動指針を策定しました。これら指針に基づき、環境負荷低減に貢献する製品やサービスの開発に取り組むとともに、バリューチェーン全体の環境負荷低減に向けた事業運営を推進してきました。
2021年11月には、近年の環境への国際的な関心と企業の取り組みへの期待の高まりを背景に環境方針を改定しました。
NSKグループは 、MTP2026の重要課題の一つである「ESG経営」を推進するため、環境行動計画を策定しました。グローバル環境マネジメント、環境コンプライアンスを基盤に、我々が目指すべき姿を「脱炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」とし、その構築に、自らの事業活動の環境負荷の最小化と、製品を通じた環境貢献の最大化で貢献します。このことは、SDGsの達成への貢献につながっています。
NSKの環境行動計画
環境に関する機会とリスク
持続可能な社会の実現に向け、CO2排出量の削減や資源循環、環境負荷物質の削減などに関する取り組みを促進するためのイニシアティブの整備や、各国・地域の規制などの強化が加速し、自動車の電動化などの企業の動きも進展しています。NSKグループは、バリューチェーンの各フェーズの環境に関する機会やリスクを特定・評価し、経営戦略や環境行動計画に反映させて継続的な成長を図っていきます。具体的なリスクと機会については下記図をご参照ください。
マテリアルバランス
NSKグループは、グリーン調達などの取り組みを通じてサプライヤーとともに環境負荷の低減を進め、環境貢献型製品を提供することでお客様や社会全体の環境負荷の低減に取り組んでいます。
事業活動における投⼊源と排出(2022年度・2023年度実績)
体制
◆環境推進体制
環境行動計画の達成に向け、各部署が諸施策を展開し、その進捗を継続的に把握・評価しています。
環境への取り組みはコアバリュー委員会に定期的に報告され、同委員会ではコアバリューの一つである環境への活動強化のための方針の議論や関連リスクの共有を通じて、課題解決に向けた改善策の提言を行います。特に経営の重要課題であるカーボンニュートラルの取り組みについては、カーボンニュートラル推進部が、全社的および中長期的な視点で方針・戦略・目標を設定し、達成に向け諸施策を推進するとともに、活動の進捗を定期的に担当執行役およびCEOに報告します。特に重要な施策は、経営会議の審議を経てCEOが決定し、取締役会に付議されます。取締役会は、この取り組みの執行状況を監督しています。なお、CO2排出量削減の達成度は、執行役の短期業績連動報酬の評価項目に組み込まれています。
※NSKのコアバリュー委員会については、コーポレートガバナンス体制図をご覧ください。
目標と実績
◆中期経営計画2026(MTP2026)目標、各年度の目標と実績
MTP2026目標 | 2023年度目標 | 2023年度実績 | 2024年度目標 | ||
---|---|---|---|---|---|
環境マネジメント | 全対象事業所でISO14001の認証を維持 | 全対象事業所でISO14001の認証を維持 | 全事業所で認証を維持 | 全対象事業所でISO14001の認証を維持 | |
本格稼働開始から3年以内の事業所※1でISO14001の認証取得 | 本格稼働開始から3年以内の事業所でISO14001の認証取得 | 0事業所(該当事業所なし) | 本格稼働開始から3年以内の事業所でISO14001の認証取得 | ||
重大な環境法令違反“ゼロ” | 重大な環境法令違反“ゼロ” | 重大な環境法令違反“ゼロ” | 重大な環境法令違反“ゼロ” | ||
重大な環境汚染事故“ゼロ” | 重大な環境汚染事故“ゼロ” | 重大な環境汚染事故“ゼロ” | 重大な環境汚染事故“ゼロ” | ||
環境貢献型製品の創出 | NSK環境効率指標(Neco) 1.2以上の環境貢献型製品の創出(継続) | 創出の継続(1製品以上) | 3製品を開発 | 創出の継続(1製品以上) | |
NSK製品使用段階のCO2排出削減貢献量 300万t-CO2以上 | 247万t-CO2 | 243万t-CO2 | 249万t-CO2 | ||
気候変動対策 | 生産・技術・オフィス | CO2排出量※2 2017年度比 50%削減 | 2017年度比 45.0%削減 | 2017年度比 51.7%削減 | 2017年度比 39.0%削減 |
エネルギー使用原単位 2017年度比 10%削減 | 2017年度比 6.0%削減 | 2017年度比 19.4%削減 | 2017年度比 7.7%削減 | ||
資源循環 -省資源・リサイクル対策- | 生産・技術・オフィス | 廃棄物原単位 2017年度比 -9.0%以下 | 2017年度比 -6.0%以下 | 2017年度比 -19.8% | 2017年度比 -7.0%以下 |
リサイクル率99%以上 | 99%以上 | 99.2% | 99%以上 | ||
生産 | 廃プラスチック原単位(グローバル)2023年度比 -3.0%以下 | 廃プラスチック原単位(日本) 2022年度比 -1.0%以下 | 2022年度比 0.0% | 2023年度比 -1.0%以下 | |
物流(日本) | 梱包資材の廃棄物原単位 2021年度比 -14% | 2021年度比 -6.0% | 2021年度比 -23.3% | 2021年度比 -10% | |
資源循環 -水資源の活用- | 生産・技術・オフィス | 取水原単位 2017年度比 -9% | 2017年度比 -6%以下 | 2017年度比 -19.5% | 2017年度比 -7%以下 |
環境負荷物質対策 | 開発・設計、調達、生産 | 欧州RoHS2指令10物質への完全対応 | 完全対応 | 開発製品および製造工程からの完全撤廃取り組み継続 | 完全対応 |
調達 | NSK環境負荷物質含有調査の実施 | サプライヤーへの環境負荷物質管理体制監査の実施 | サプライヤーへの監査、是正活動継続 | サプライヤーへの環境負荷物質管理体制監査の実施 | |
サプライヤーからの回答取得 | サプライヤーからの回答取得継続 | サプライヤーからの回答取得 | |||
生産(日本) | PRTR法対象物質の取扱量原単位 前年度比で1%削減を継続 | 2022年度比 -1%以下 | 2022年度比 +0.4% | 2023年度比 -1%以下 | |
生物多様性の保全 | 事業活動が生物多様性に与える要因の洗い出し | 活動継続 | 活動継続 | 活動継続 | |
生物多様性保全に関する社会貢献活動を拡大 | 活動継続 | 活動継続 新たに長野県で河川清掃活動を開始 | 活動継続 | ||
従業員の認識を深める教育 | 活動継続 | 活動継続 | 活動継続 |
※1 開発・設計、生産、物流など、特に環境負荷が大きい事業所
※2 温室効果ガス排出量(CO2等価量)は、各温室効果ガスの排出量にそれぞれの温暖化係数を乗じ合算しました。電力の排出係数はマーケット基準(変動)を採用しました。当社が契約する電力会社が公表する排出係数(毎年更新)、または国際エネルギー機関(IEA)の「CO2 Emissions from Fuel Combustion」の係数を採用しました。
取り組み
◆グローバル環境マネジメント
環境マネジメントシステムの認証取得・維持と運用
◆環境コンプライアンス
環境関連の法令遵守
NSKグループでは、環境関連の法令遵守に加え、法令より厳格な自主基準を定め、大気・水質汚染の防止に努めています。外部環境に影響を及ぼす事故や法令違反行為が発生した場合は、速やかに行政機関などに報告するとともに、原因究明と再発防止に向けた対策を実施しています。
環境関連の監査
NSKグループの各事業所では、内部監査や第三者機関による監査を定期的に実施しています。また、油流出事故の未然防止や環境法令の遵守、廃棄物の適正管理、環境負荷物質管理などを徹底するため、NSK本社の環境部門や地域統括部門による監査を実施しています。

環境監査の様子(欧州)
土壌・地下水汚染の浄化
NSKグループでは、2003年度までに塩素系有機溶剤の使用を全廃しました。また、過去の使用によって土壌や地下水に汚染が残る6事業所で浄化を継続しています。定期的に地下水をモニタリングし、浄化の進捗状況を行政機関に報告しています。
◆その他
環境教育・訓練など
環境保全活動の実効性を高めるには、従業員一人ひとりが正しい知識にもとづいて業務に取り組むことが重要です。NSKグループでは、新入社員から経験を積んだベテラン従業員まで、全従業員を対象としたレベル別の環境教育(学習テーマ:環境マネジメント、カーボンニュートラル、省資源(水資源・廃棄物)、環境負荷物質管理、自然共生型社会など)、環境eラーニング、各部門の環境管理者向けの目的別教育、技術者向け教育など、従業員の意識を高めるための啓発活動と、知識を深めるための階層別教育を継続的に実施しています。

eラーニング「カーボンニュートラル」の抜粋