環境負荷物質対策
基本的な考え方
NSKグループは、環境負荷物質※1使用ゼロを目指した製品づくりを目標に、欧州RoHS2※2指令をはじめ、欧州REACH規則※3やSVHC※4の動向、GADSL※5などの業界基準を踏まえた「NSK 環境負荷物質リスト」に基づいて、開発・設計、調達、生産・物流の各段階を通じて環境負荷物質を厳重に管理するとともに、使用の削減に取り組んでいます。また生産工程からの排気ガス・排水による大気・水質の保全については、法規制より厳しい自主基準を設定し遵守しています。さらに、サプライヤーの皆様にも「NSKグループ グリーン調達基準書」や、「NSK 環境負荷物質リスト」に基づいた管理の徹底を求めています。
※1 環境(生態系を含む)の保全、もしくは健康の維持に支障を及ぼす物質、さらにその恐れのある物質
※2 欧州RoHS2指令:Restriction of Hazardous Substances in Electrical and Electronic Equipmentの略、EU域内で流通する電気・電子機器における特定有害物質の使用を制限する指令、現在、フタル酸エステルなど10物質が規制されています。
※3 欧州REACH規則:Registration, Evaluation, Authorization and Restriction of Chemicalsの略、欧州で2007年6月に発効した化学物質の総合的な登録、評価、認可、制限を目的にした制度
※4 SVHC:Substances of Very High Concernの略で高懸念物質のこと、欧州REACH規則の認可対象物質の候補になる物質
※5 GADSL:Global Automotive Declarable Substance Listの略、各国自動車関連メーカーの総意で作成された環境負荷物質のリスト
体制
NSKグループは、バリューチェーン全体の環境負荷低減に向けて、管理すべき化学物質に関係する法規制・業界基準などをもとにして、環境負荷物質管理に関する規定類の整備を行い、環境負荷物質管理体制の維持に努めています。
環境負荷物質の管理
目標と実績
◆中期経営計画2026(MTP2026)目標と各年度の目標・実績
MTP2026 | 2022年度目標 | 2022年度実績 | 取り組み | 2023年度目標 | |
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開発・設計、調達、生産 | 欧州RoHS2指令10物質への完全対応 | 完全対応 | 開発製品の対応完了 製造工程からの完全撤廃取組み継続 |
| 完全対応 |
調達 | NSK環境負荷物質含有調査の実施 | サプライヤーへの環境負荷物質管理体制監査の実施 | サプライヤーへの監査、是正活動継続 |
| サプライヤーへの環境負荷物質管理体制監査の実施 |
サプライヤーからの回答取得 | サプライヤーからの回答取得継続 |
| サプライヤーからの回答取得 | ||
生産(日本) | PRTR法対象物質の取扱量原単位 前年度比で1%削減を継続 | 2021年度比-1%以下 | -10.9% |
| 2022年度比-1%以下 |
取り組み
◆調達・設計・製造・お客様に係る工程での取り組み
グリーン調達と環境負荷物質管理
NSKグループでは、法令や業界標準から独自に抽出した環境負荷物質を「NSK環境負荷物質リスト」※に登録するとともに、禁止物質を含有・付着した製品が納入されることがないよう「NSKグループ グリーン調達基準書」を策定し、サプライヤーの皆様に管理徹底と管理体制の維持・レベルアップをお願いしています。世界各地でグリーン調達説明会の開催、グリーン調達への同意書の提出依頼、およびサプライヤー調査を行っています。
NSK製品をご使用いただいているお客様は、グローバルに広がっています。そのためNSK製品が入った最終製品は、世界中の法令や、自動車、電機・電子業界の環境負荷物質規制への対応が必要です。NSKグループでは毎年「NSK環境負荷物質リスト」による環境負荷物質調査を行うことにより、お客様からの環境負荷物質に関する情報提供要求に対しても迅速に対応しています。
※ 環境負荷物質を、禁止物質(納入製品に含有・付着されてはならない物質)、削減物質(計画的に削減していく物質)、管理物質(含有を把握しなければならない物質)に分類した一覧表
◆設計・生産工程での取り組み
欧州RoHS2指令の使用禁止10物質に完全対応
NSKグループでは、サプライヤー調査の結果に基づき、欧州RoHS2指令の使用禁止10物質が含まれていないことを確認した部品のリストを作成し、製品設計時に禁止物質が非含有であることを確認しています。このリストは、各工場で調達部品の受入時にも使用しています。欧州RoHS2指令にはフタル酸エステルが追加されました。フタル酸エステルには接触によって移動する性質(移行性)があります。したがって、製品材料自体に含有させないだけでなく、製造工程で使用している樹脂、ゴム製手袋、包装梱包資材、他の接触部材についてもグローバルに調査を行い、製造工程においてフタル酸エステルが製品に移行するリスクの排除に向けた取り組みを継続して行っています。