人事制度・キャリア開発(成⻑に資する機会と場の提供)

タレントマネジメントを促進する人事制度

NSKグループの各種人事制度は、社員のモチベーションやスキル、個々の能力を最大限に発揮し、一人ひとりがいきいきと働くことのできる環境を整備しています。目標管理・相互確認による評価およびそのフィードバックを中心として、主にジョブローテーション、自己申告制度、そして社員群変更制度などの諸施策により「成長に資する機会と場の提供」を行っています。

目標管理・相互確認による評価およびフィードバック
会社や部門の目標からブレイクダウンされた個人目標の実現に向けて、社員が個性やその能力を最大限に発揮し、個の成長・自己実現と企業が成長するための仕組みとして、「相互確認制度」を導入しています。この制度では、上下期の期初の目標設定時、期中での中間フォロー、各期末の成果確認時に上司と個別面談を行う一方で、被評価者へのアンケートを通して上司からのフィードバックへの納得の度合いを確認し、公平性を確保し、良質な双方向コミュニケーションが取られているかを毎回チェックしています。目標設定には各目標において自身の能力資格に対しての難易度やチャレンジ度を併せて設定することで、自己決定による挑戦意欲を促しています。また、フィードバックは部下の成長支援の機会の一つと捉え、上司との対話による内省の機会を与えることで、社員の成長支援に繋げています。
ジョブローテーション若手育成ローテーション
人の成長が組織の成長につながるという考え方のもと、人材育成を目的としてジョブローテーションを積極的に実施しています。異動の範囲は国内に留まらず、海外や関係会社にも及びます。キャリアに新しい展開をもたらし、新たな業務を通じて「自ら学び、成長する」という意識醸成を促すことで、成長の角度やスピードを高めることを狙いとしています。
経験が人を育てるという考えのもと、30歳までを若手育成期間と定め、多様な経験を通じて視野を広げ、視座を高めさせるためのジョブローテーションを実施しています。総合職を対象に3年ごとにキャリアプランの確認のための面談を行い、キャリア形成を軸に異動を実施することで、環境の変化への対応力を身につけさせ、人脈形成、コミュニケーション力強化などを行い、NSKパーソンとして将来の活躍、経営を担う人材となるための成長の機会を提供しています。
自己申告制度社員群変更制度
年に一度、人事部に直接「自己申告書」を提出し、現在の職場環境や将来希望する業務、会社に知らせるべき個人の事情などを申し出る機会を設けています。また、希望者には面談も実施しています。自己申告書と面談の結果をもとに、個人の能力の発揮、成長機会の提供を目的に戦略的な人事異動を行っています。一般職から総合職など職域を拡大するための社員群変更制度を導入しています。自らのキャリアへの気付きや、自発的な能力開発を促す制度でもあり、社員の主体的なキャリア開発の機会としています。

自己実現のための教育機会の提供

NSKでは、持続的な成長を支えていく核となる人材の育成に向けて、能力・教養・人間性をさらに磨くための各種教育研修制度を設け、社員の「成長に資する機会と場の提供」をしています。新しい取り組みとして、人生100年時代の社会構造の変化を見据え、2019年度には50代の社員を対象にしたプログラムからトライアルする等、年代別キャリアセミナーを企画しています。時代の変化を捉え継続的に自ら学習をしていくきっかけとして、今後さらに充実させていきます。この他、社員の継続的なキャリア発達を支援するため具体的には、以下のようなプログラムを実施しています。

◆NSK経営大学

グローバルに活躍するマネジメント人材の育成を目的とし、2000年より日本で経営大学、2011年からは対象者をグローバルに拡大したグローバル経営大学という選抜教育を行っています。経営大学は、国内で選抜された管理職層が約1年かけて体系的に経営に関する学習を行い、将来へ向けた課題を経営層へ提案していきます。これまで約400名の社員が受講し、そこから経営者が継続的に輩出されています。グローバル経営大学は、毎年、日本を含めた各地域より2名前後を選抜し、世界各国のNSKグループの拠点を訪問します。その中で事業戦略講義や社内外の事業場訪問などを行い、リーダーとして必要とされる知識やスキルを学ぶプログラムです。近年では、海外の有名ビジネススクールへの派遣や講師を招いた講義を行っています。これまで100名以上が受講し、修了後はNSKの事業を牽引するリーダーとして活躍しています。2019年度より、経営大学のレベルをさらに向上させるため、今後対象となる若手層を選抜し、経営大学の準備コースを開催しています。この中では経営の基礎を学びながら、グローバル化・デジタル化へと大きく変化していく経営環境を捉え、将来のあるべき会社像を4ヵ月かけて考えます。

◆プロフェッショナル人材の育成(NIT、モノつくりセンター)

NSKは、2007年にNSKインスティテュート・オブ・テクノロジー(NIT)を設立し、技術面からNSKの競争力を支える高度技術人材の育成を目指しています。変化の多い時代に、自らの能力を高めながら最大限に実力を発揮できるよう、NITでは若手社員に社会人基礎力向上のための研修を行っています。その上で、科学、数学、工学などの一般知識や、安全、品質、環境、技術者倫理、4コアテクノロジープラスワンなどのNSKの技術者として必要な知識習得の講義を行うとともに、各分野の専門技術の学習コンテンツを、必要に応じてオンラインで学習できるようにしています。これらの活動により、NSKの技術者が直接の顧客である自動車や家電、産業機械などのメーカーのみならず、その先のファイナルユーザーや地域社会、グローバル社会の課題を発掘し、NSKのMOTION&CONTROLを通じて、自ら能力を高めながら解決に貢献できるよう、教育面からサポートしています。なおFY2022は495名の従業員がNITの講義を受講しました。また、NITは地域社会の次世代育成の役割も担っており、大学への講師の派遣や小学生向けの科学教室などを開催しています。

NSKモノつくりセンターのコースおよび研修内容
 
コース名対象者期間期間研修内容
技能者 自主保全中堅技能者3ヵ月
  • 自主保全に携わる者として、必要な知識・技能を学科と実技で習得する
  • 自主保全士取得レベルのスキル
電気保全推進保全員候補6週間+2ヵ月
(工場実習)
  • 電気保全技能の基礎
    (基礎理論、プログラミング、トラブル・シューティング)
  • 2ヵ月間の工場実習
技術者技術者初級技術者経験年2-3年
または相当以上
6週間
  • 工場技術者としての基礎力習得(基礎技術、基礎管理知識)
技術者中級技術者経験年5-7年
または相当以上
2週間
(1週間×2回)
  • 中級技術者向け知識と現場管理
  • トヨタ生産方式から学ぶモノつくりの最前線
◆品質を支える人材育成

NITの教育体系は大きく技術教育と品質教育に区分されています。品質教育については、品質保証本部とNITとの協働で実施されており、各従業員の階層や所属部門に応じて、適切な品質教育を行っています。2016年度から、新たに品質倫理教育と統計的品質管理(SQC)実践教育を導入し、品質教育の体系を再構築しています。また、品質工学(タグチメソッド)を取り入れ、実践的な教育をしています。

「MTP2026」機能別・階層別教育(NIT協働)