品質マネジメント

基本的な考え方

NSKグループは、品質をコアバリューの一つと位置づけ、製品やサービス、提供する情報を含め全ての品質を業界でNo.1にすること、即ち「Total Quality No.1」を実現することで、世界中のお客様に喜ばれるモノづくりを目指します。

品質保証ビジョン2026(「お客様第一」の「100%良品」)に向け、「NSK品質保証の三本柱」に基づいた活動に取り組んでいきます。

NSK品質保証の三本柱
NSK品質保証の三本柱
◆品質保証ビジョン2026

2026年までに実現すべき目標として策定したのが「品質保証ビジョン2026」です。「品質保証ビジョン2026」では、上記のとおり「三本柱」を掲げています。「設計品質」、「製造品質」、「サプライヤー品質」、最終的に「市場品質」を高めるという、部門協働での一貫した、かつシームレスな品質向上に取り組み、Total Quality No.1を実現します。2026年には「お客様第一」の「100%良品」を目指します。

品質保証ビジョン2026

体制

◆品質保証体制

NSKグループは、コアバリュー委員会を設立し、コアバリュー(安全・品質・環境・コンプライアンス)の推進・強化のため、方針の議論や関連リスクの共有を通して全社的課題を設定し、それらの解決に向けた提言と進捗のモニタリングを行っています。
また、品質マネジメントのグローバルな統括部門として品質保証本部を置くとともに、コアバリュー委員会の下部組織として各事業本部内に品質協議会を設置し、生産・販売・技術の各部門が連携しながら品質向上のための取り組みを進めています。品質保証本部は、毎月開催される執行役会でグループ全体の品質管理状況について経営層に報告を行っています。

さらに、韓国、米州、欧州、中国、アセアン・オセアニア、インドに各地域を統括する地域品質保証部を設置し、それぞれの国や地域のお客様の視点を最優先としてグローバルな品質保証体制を整備しています。グローバル会議(年1回)や地域品質会議(各地域年2回)を定期的に開催し、情報をグローバルに共有しながら各地域でのモニタリングや監査、サポート体制の強化に取り組んでいます。

品質協議会
品質協議会
グローバル品質保証体制
グローバル品質保証体制

目標と実績

◆中期経営計画2026(MTP2026)目標、各年度の目標と実績
方針NPDS活動の推進(NSK Product Development System)
-お客様の新規案件を、迅速、確実に安定⽣産に結びつけるためのNSK独⾃の品質管理システム-
NQ1活動の推進(NSK Quality No.1)
-不良「ゼロ」の安定⽣産を目指した活動-
人づくり
-品質づくりを支える人材育成-
MTP2026目標
  • グローバルNPDS質向上
    ・海外DR(Design Review)エキスパートの設置
    ・DRの厳格化、設計-製造一体型デジタルFMEA導入
  • 設計過去トラ グローバルシステム手法定着と製造過去トラへの展開
  • 品質デジタル管理化
    (完成検査/トレサビリティー/重要工程管理強化)
  • 工程能力の管理強化
  • 品質DX組織の立ち上げ/人材確保
  • 全社員への品質教育の展開(バーチャル化教育/eラーニング)
2022年度目標
  • 欧州、中国での現地DRエキスパート設置に向けた教育実施
    設計-製造一体型デジタルFMEAの全展開による開発・製造情報のデータ化
  • グローバル設計過去トラシステムの設計運営の定着化とデータ蓄積
  • 人に頼らない完成検査体制の展開
    新規品トレサビリティ―の強化のためのプロジェクトチーム新設と全体構想策定
    遠隔監視管理による重要工程管理強化
  • 工程能力の見える化とルールの厳格化
  • 品質デジタル基盤の組織体制づくり
    品質情報教育コンテンツの作成と教育実施
  • オンライン教育 e-道場の立ち上げ
実績
  • 海外向けDRエキスパート用教育資料の作成
    欧州/中国地域の品質保証部と技術部を対象に計7名への教育を実施
    設計-製造一体型デジタルFMEAシステムの使用方法に関してグローバル教育(アメリカ/欧州/中国/ASEAN)を完了
  • グローバル設計過去トラシステムの構築と設計知識登録完了
    技術部を対象に活用開始
  • 自動外観検査設備導入状況の実態確認(対象:グローバル工場)
    検査要件分析のため、外観不良分析調査を実施(対象:過去7年間の外観不良)
    トレサビリティ推進プロジェクトチーム新設
    トレサビリティ強化に向けたガイドラインの作成
  • 工程能力を厳格化した新ルールを作成 (対象:新製品)
    新ルールに基づいたトライアル開始(対象:5案件)
  • 全社デジタル教育実施(対象:管理職以上)
  • 技術者向けオンラインe-道場の立ち上げと教育実施(2回/年)参加者92%
2023年度目標
  • DRエキスパート1名の選出とDRエキスパート活動の実践開始
    設計-製造一体型デジタルFMEAシステムの運用に向けたガイドラインの作成と展開実施
  • グローバル設計過去トラシステムの製造部、および海外展開と活用開始
  • 自動外観検査機導入ガイドライン作成
    進捗管理チェックシートを作成し、各工場での導入推進の自走化実施
    ガイドラインに沿ったトレサビリティ導入に向けた工程設計実施
  • 工程能力に関する新ルールの正式適用(対象:全新製品)
    工程能力厳格化の対象拡大に向けたロードマップ作成(対象:既存製品)
  • 各部署デジタル推進担当者向け教育実施(2回/年)
  • 全社員対象のバーチャル品質教育の立ち上げ

品質向上に向けた取り組み

NSKグループでは、市場・お客様第一の品質確保を行うため、設計品質、製造品質、サプライヤー品質の一気通貫した品質向上活動に取り組んでいます。
下の4つの指針のもと、一丸となった品質のつくりこみを実現します。

品質向上に向けた取り組み
◆市場品質を高める取り組み

NSKグループは、モノづくりのメーカーとして、NSK製品を直接使用するお客様だけでなく、社会からの期待にも応える品質づくりを目指しています。このため、お客様が求める基準を満たすことに留まらず、NSK製品が組み込まれた製品を使用する最終ユーザーの視点でニーズを的確に把握し、社会が求める品質を満たした製品・サービスをお客様に提案していくための体制構築を目指しています。

顧客管理データベースの構築

NSKグループは、お客様のご要望に的確にお応えするため、設計に関する技術サポートや製品の使用に関するノウハウの提供などを行っています。また、お客様のご要望への対応履歴などの情報を蓄積したデータベースを構築し、各国・地域からの情報を集約することで、製品やサービスの向上につなげています。

◆設計品質を高める取り組み

設計段階での品質を向上させるため、市場のお客様の声を設計に反映させています。お客様の要求を満たした「基本の品質」に、NSKグループが長年培ったノウハウや市場における経験に基づいた「ねらいの品質」を加味することで、より高いレベルの製品の設計に努めています。

品質をプロセスでつくりこむ「NPDS(NSK Product Development System)」活動

NSKグループは、新規案件に迅速かつ確実に対応し、お客様にご満足いただける製品を量産していくため、NSK独自の品質管理システム「NPDS」をグローバルに展開しています。製品企画から開発・設計、試作、量産までの各プロセスで、懸案事項が解決されていることを確認し、品質をつくりこんでいきます。また、量産体制に入ってからも、高い品質を安定的に維持するための管理を徹底しています。

NPDSの概要
NPDSの概要
開発製品におけるデザインレビューの品質向上教育

新規開発案件の製品品質を向上させるため、NSKグループではデザインレビュー(Design Review=DR)を行う社内独自のDRエキスパート制度を設け、グローバルにデザインレビューの質を向上させる施策に取り組んでいます。これらのエキスパートによって設計段階から量産段階まで製品の品質に関する課題の洗い出しを行い、問題発生の未然防止を図っています。また、NSK開発製品のデザインレビューの内容充実とともに、知識・経験豊富なエキスパートにより、①お客様の要求を把握したロバスト設計提案、②4M重視の製造工程の構築、安定生産、③技術の伝承、若手エンジニアの教育の場の開発を目指しています。

デザインレビューの底上げのためには、レビューに必要な資料やデータの事前準備が重要であり、DRの前に参加者全員が内容を把握することで、効率良く充実した審議を行うことができます。NSKではDRエキスパートと設計開発者が直接話し合いを行う場を増やし、個々の技術レベルの向上と各DRのステップに必要な技術資料の充実に取り組んでいます。また、各DRステップでの最適評価とフィードバックを行うことで、DRの質向上に伴う開発案件の品質向上に取り組みます。

※ ロバスト設計:様々な使用条件や要求特性をカバーできる設計

◆製造品質を高める取り組み

お客様の求める品質を製品として形にし、安定して社会に提供していくための取り組みを進めています。
「4M」-Man(人材)、Machine(設備)、Material(材料)、Method(手法)- を重視した製造工程を構築し、製品の品質向上を目指しています。

4Mの重点課題
4Mの重点課題
品質検査による製品保証

お客様が安心して商品をお使いいただけるよう、NSKグループでは確実な検査を行うことで品質保証を行っています。検査には外観検査と機能検査があり、製造における受入~出荷までの節目で検査を行うことで、不良品の流出防止を図っています。
今後は検査の自動化を推進し、工程保証度の強化と高効率化を目指していきます。

グローバル品質改善活動とその展開

NSKグループでは、グローバル全生産拠点の品質マネジメント状況を毎月モニタリングしています。品質改善活動として全生産拠点を対象とした不良ゼロ活動、再発防止活動、品質道場活動などに取り組んでおり、品質保証本部では各活動ごとに表彰制度を導入し、活動の活性化を目指しております。また、品質面において特に優れた実績をあげた生産拠点を優秀工場と位置づけ、工場の特性や運営面での取り組みなどを分析して、他の生産拠点への水平展開を進めています。

《工場間品質交流会の目的》

  • 他工場の良い活動から学ぶ
  • 困りごとの共有~解決策の相互提案
  • 問題の自分事化(自工場で同じ問題を起こさないかという視点)
品質教育

NSKグループでは、コアバリューの一つである品質に関して、継続的な意識と知識の向上を目指し、全従業員を対象とした品質教育を毎年行っています。

《教育内容》

  • 新入社員や管理職に対する役職に応じた階層別品質教育
  • 実際の事例や製品に触れることができる品質道場教育
  • 全社員に向けたeラーニングを用いたデジタル品質教育
◆サプライヤー品質を高める取り組み

高品質な製品には、高品質な部品や材料、油脂類などが必要不可欠です。NSKグループでは、サプライヤーの皆様との信頼関係をベースに品質を高める取り組みを進めています。品質保証本部が主体となりサプライヤーの皆様の品質の見える化、改善課題の立案、およびサプライヤー製品受け入れ工場と共同した品質向上活動に取り組んでいきます。

≪主な取り組み≫
方針内容
グローバル品質監査室の社内活動方針説明会現在、仕組みとして構築しているサプライヤー品質管理の内容について、購買方針説明会(年次)においてサプライヤーの皆様へ展開
サプライヤー品質の現状把握と見える化納入受入や工場ラインで発生したサプライヤー起因の品質問題の状況を、トレンドグラフやレーダーチャートなどで可視化
サプライヤー品質問題管理システムの開発
  • サプライヤ―起因の品質問題を集約~可視化までシステムを使って管理
  • 情報の標準化・可視化・迅速化
サプライヤー品質問題の月次報告
  • システムを使って可視化されたサプライヤー品質状況を、事業本部や工場へ月次で展開
  • 毎月モニターしているサプライヤーの品質実績を元に、サプライヤーへの品質指導、チェックを実施
  • ワーストサプライヤーに対する品質本部トップによる品質改善活動を実施
最終工程委託サプライヤーの現状把握
  • 製品の最終工程として委託しているサプライヤーの皆様の品質状況を確実に把握
  • 購入品と同レベルの管理までの引き上げ
◆その他の取り組み
監査機能の強化

品質保証本部にあるグローバル品質監査室は、「品質管理上のコンプライアンス遵守状況や潜在リスクを確認し、潜在的な問題の未然防止策を実施する」ことが役割であり、第三者的な視線で監査を実施しています。

また、他社のリコール情報、不正情報は常に情報を収集し、自分事として捉え、必要な情報展開と未然防止活動の展開を進めています。

品質マネジメントシステム

NSKグループでは、開発・設計、製造などの事業所で品質マネジメントシステムの国際規格ISO9001やIATF16949の認証を取得しています。また、定期的に実施する第三者機関の監査や内部監査により、品質マネジメントシステムの有効性を確認しており、問題が見つかった場合は適切な是正措置を行い、取り組みのレベルアップを継続的に図っています。

製品不具合発生時の対応

NSKは、お客様に製品を安全に使用していただくための技術情報や取り扱い上の注意事項を伝えています。品質に最善を尽くしていますが、万が一、製品・サービスの不具合が発生した場合には、情報をお客様へ速やかにお伝えするとともに、関係部署が一体となり、問題の拡大防止のため、迅速かつ適切な処置を行います。また、原因を究明し、再発防止を図ります。