事業継続マネジメント(BCM)
基本的な考え方
NSKでは「人命の安全確保を最優先とする」「社会と協調して災害対応を行う」「重要業務は停止させない、万一、停止した場合でも、速やかに再開させる」という基本方針を掲げています。
また 、NSKでは事業継続計画(BCP)を策定しており、災害発生前の事前対策として、災害発生時の被害を低減する対策と、災害発生後の事後対策として、復旧期間を短縮する対策と代替手段による事業継続手段を事前に検討し、併せて顧客への製品供給責任を果たすために必要な在庫を確保しています。
体制
CEO直轄組織として、事業継続マネジメントへの取り組みを統括する「危機管理委員会」を常設し、NSKグループが遭遇しうるリスクの顕在化を想定し、平時からの事前準備と有事の対応を指揮統制する体制を構築しています。また、海外各地域にも事業継続マネジメントを統括する組織を設置し、当該地域におけるリスク顕在化時には危機管理委員会がこれらの組織と連携して対処します。
NSKグループの危機管理体制
目標と実績
◆中期経営計画2026(MTP2026)目標、各年度の目標と実績
方針 | グループ危機管理体制の整備 | BCPの構築・実効性の向上 | |
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MTP2026 | 目標 |
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2023年度 | 目標 |
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実績 |
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2024年度 | 目標 |
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取り組み
復旧目標の設定
危機発⽣時にも顧客への製品供給を継続するため、製品別に復旧目標を定めています。また、目標とする期間内での復旧を確実にするため、災害発⽣時の被害を最小化する対策を徹底するとともに、復旧期間を最短化する計画と必要最低限の在庫を確保することにより、製品供給の継続を可能とすることとしています。さらに、想定外の被害が発⽣し、目標期間内での復旧が困難な場合を想定し、代替機能による事業継続が可能となるよう、事前準備を⾏っています。
BCP実効性向上にむけた取り組み
NSKでは日本本社及び日本国内のグループ会社を含む各事業所において、有事の組織体制、対応⼿順、ツール類など、危機発⽣に備えた事前準備を⾏っています。
また、定期的な訓練を通じて準備事項の実効性を検証し、訓練で抽出された課題へ対応することで改善を図っています。更には被害を最⼩化する対策や、緊急時の通信⼿段確保、報告システムの整備、大規模停電への対策、ITインフラのバックアップ確保などを通じ、大規模地震などの災害を想定したBCPの実効性向上に取り組んでいます。
海外の各地域では、地域固有リスクを想定した拠点BCPの策定を進めており、策定したBCPの有効性を検証しています。
≪2024年度の具体的な取り組み≫
個の力の強化
組織や企業における人命安全の確保や事業継続のためには、リーダーの指示を受けることなく、従業員一人ひとりが緊急事態発生時に期待される行動が自発的にできることが必要であること、その結果が組織や会社の有事対応力の強化に繋がる、という考えに基づき、災害発生時の状況をシミュレーション体験し負傷者救護・救助方法を学ぶ訓練や、災害発生時に次々と目前に現れる課題をリーダーの立場で解決できるかを判定する訓練を2024年度から新たに導入しました。新たな訓練はパイロット工場で開始し、順次、各拠点へ展開します。
負傷者救護・救助方法を学ぶ訓練の様子
シミュレーションを通じた課題検討の様子
頻発する地震や集中豪雨の発生常態化を受け、策定しているBCPに対する改善点を洗い出すため、災害対応からの振り返りを行っています。近年の気付きとしては、通常勤務時間外に危機レベルが高まった場合の稼働判断方法や連絡手段の改善、工場周辺の最新のハザード情報の把握、災害用備品類の不足分の補充、訓練による事前準備事項の実効性の確保がありました。また、これらの振り返りを元に、国内外全工場における気象災害への備えの点検を毎年実施しています。
≪気候変動の適応への対策≫
NSKでは、気候変動の影響を受けて激甚化する気象災害に対して様々な対策をしており、例えば浸水対策としては、タイムライン行動計画に基づく手順の読み合わせ、止水板の設置や土のう積みの訓練の実施などを行っています。
定期的に止水板設置訓練を実施