サステナビリティハイライト
環境
NSKの事業活動によるCO₂排出量の削減
NSKは2021年6⽉、社長直下にカーボンニュートラル推進部を設⽴しました。事業活動におけるCO2排出量削減については、A 技術革新、B 省エネ/燃料転換、C 再エネの3つのカテゴリーで取り組みを進めています。本部署は、全社的、および中長期的な視点で、関連部署と有機的に連携することで、取り組みをさらに加速させていきます。
また、これらの取り組みに加え、CO2排出削減の価値を可視化するために、インターナルカーボンプライシング※1運用の検討を進めています。
※1 インターナルカーボンプライシング:企業内で独⾃にCO2排出量に価格を付け、投資判断などに活用する仕組み
A 技術革新
世界初バイオマスプラスチック製耐熱樹脂保持器の開発
NSKは、2008年に生分解性プラスチック、2013年に⾷品由来グリースを開発するなど、長年にわたり環境にやさしい素材や製品の開発に取り組んできました。そして2021年、世界で初めて、主に植物由来のバイオマス資源のみを原料として作られたバイオマスプラスチックからなる転がり軸受用耐熱樹脂保持器を実現しました。引き続き、NSKが有する材料技術、解析技術、成形技術、評価技術などを駆使し、バイオマスプラスチックの実用化を⾒据えた研究開発を加速していきます。
特徴①
化石資源から作られる従来のポリアミド66(66ナイロン)製保持器と同等の強度、耐熱性を発揮します。
特徴②
バイオマス資源である植物は大気中のCO2を吸収して成長するため、バイオマスプラスチックを焼却しても大気中のCO2を増やすことにはなりません。その効果も含め、保持器のライフサイクル全体では、従来保持器からの切り替えによって91%※2のCO2排出量削減が⾒込めます。
※2 材料メーカーによる試算
B 省エネ/燃料転換
生産工場におけるCO₂排出状況の可視化と改善
2020年度に、軸受の⽣産⼯程別のCO2排出状況と、⽣産ラインの稼働状況が⾒える仕組みをNSK埼玉⼯場に導⼊しました。この仕組みを使って、無駄なCO2排出を発⾒し、効率的な改善活動を進めています。現在は熱処理炉の効率改善と、⽣産設備の圧縮エア消費削減活動を⾏っています。埼玉⼯場での改善は今後も継続しながら、他の⼯場への活動の展開も進めていきます。
生産工程別のCO2排出可視化
軸受生産用研削盤のCO₂排出量削減
NSKの工場では生産活動の中で多くの電力を設備動力として消費しており、CO₂排出量削減に向け「生産性向上」と「設備消費電力削減」の2つのテーマに取り組んでいます。1つ目の「生産性向上」は加工能力と稼働率を上げることで製品1個を生産する時に必要なエネルギーをより小さくする取り組みです。2つ目の「設備消費電力削減」では動力制御の工夫や新技術を取り入れ、設備そのもので消費する電力を削減しています。⼀つの例として、軸受生産用の研削盤では砥石モーターの回転数を落とさずに電力を抑えるインバーター技術を導入しました。研削盤は「研削」と「ワーク(加工物)の入れ替え」を繰り返し⾏いますが、砥石モーター電力を瞬時に下げることで、この入れ替えのわずかな時間に潜む電力の無駄を削減しました。このような環境負荷を低減させる活動をNSKの持つ技術を集結し継続していきます。
C 再エネ
再生可能エネルギーの導入を加速
太陽光・風力発電設備の導入や、購入電力の再生可能エネルギーに由来する電力への切り替えなどを積極的に進めてCO₂排出量の削減を図っています。2021年度の再生可能エネルギーの使用量は177Gwhとなりました。
蘇州社(中国)
NSKステアリングシステムズ・ポーランド社
再生可能エネルギー使用量
安全管理体制強化の取り組み━安全防火イントラネット活用 リアルタイムでグローバルの情報共有化・共通化
安全防火イントラネット
安全防火対策推進室は、2016年12月より社内イントラネットのトップに安全防火トピックスを表示し、NSKグループ従業員へ安全や防火に関する情報を提供しています。また、NSKグループで展開される安全防火活動や安全標語、安全ポスターの優秀表彰を紹介するなど、グローバルにタイムリーな情報をNSKグループ各拠点に提供しています。
イントラネット情報
安全防火イントラネットは、「災害情報・報告」「マニュアル・規程」「分科会」「監査結果」の4つの基本情報に加えて、旬の情報を提供しています。また、グローバル方針や重点施策と目標を開示し、安全と防火とも無災害継続日数をグローバル工場別に見える化し共有しています。自工場の無災害継続にこだわる意識向上につながっています。
NSKの高品質なモノづくりを伝え、支える「品質道場」
NSKグループでは、高品質なモノづくりの現場を支える人材を育成するため、様々な教育・研修を実施しています。各部門が連携し、お客様に満足していただけるより高い品質レベルの製品・サービスをつくり上げていきます。2019年度、各工場に「品質道場」と呼ばれるエリアを設置し、2020年度から全従業員を対象に教育運営を開始しました。この品質道場はグローバルで統一された構成であり、モノづくりのトータル人材育成を目指します。
品質道場は、NSKグループの主要全工場である国内17工場、海外40工場(韓国2工場、中国11工場、アメリカ9工場、ヨーロッパ6工場、アセアン7工場、インド5工場)に専用エリアを設け、品質保証本部指定の統一した6つのキーアイテムを定めて、担当者から役員層まで全従業員を対象に、製品知識、過去トラ知識、検査方法の知識を広く習得し自らの仕事と品質を関連づけることができる、品質意識の改善を目指します。
2020年度は全道場においた師範と師範代を中心に活動の活性化と定期的なコンテンツの見直しを実施し、参加率向上のためのモニタリングを強化して全社員が道場を習慣化できるよう定着に向け始動した年となりました。
品質道場のあるべき姿
多様な働き方・人材育成の推進
多様性を組織の力に
NSKは経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する「なでしこ銘柄※3」に選ばれました。
NSKは、ダイバーシティ&インクルージョンの中でも、女性活躍推進を経営課題の一つと捉え、女性管理職候補層への教育などの施策に力を入れてきました。その他、広くダイバーシティを推進し、また柔軟な働き方を実現するための施策を進めてきたことが、評価されたものと考えています。
※3 なでしこ銘柄とは、「女性活躍推進」に優れた上場企業を「中長期の企業価値向上」を重視する投資家にとって魅力ある銘柄として紹介することを通じて、企業への投資を促進し、各社の取り組みを加速化していくことを狙いとして、2012年度より経済産業省と東京証券取引所が共同で選定しています。
こころとからだの健康支援の取り組み
NSKの健康経営の取り組みが評価され、優良な健康経営を実践している企業として「健康経営優良法人(ホワイト500)」に5年連続で認定されました。
NSKでは、従業員とその家族一人ひとりの健康は会社の重要な財産であるという認識に立ち、「こころの健康」「からだの健康」につながる取り組みを進めています。「こころの健康」では、毎年実施しているストレスチェックの結果をもとにして、職場の管理者層を対象とした組織分析フィードバック説明会を開催し、組織ごとの改善目標を立て実践しています。また、「からだの健康」では受動喫煙防止を目的として、2020年9月までにNSKの事業所建屋内にあった喫煙スペースを全て撤去しました。さらに、健康診断結果をシステムで一元管理することにより、データを使った健康支援施策を実施していきます。
学び方改革:教育機会、場所と時間の選択肢拡大
在宅勤務やリモート会議など、働き方が大きく変わる中、教育活動も集合研修からオンラインや動画配信などに形態が多様化しています。
従来、集合研修で実施していたプログラムを目的や特性に応じて、手法を変更したことでメリットも出ています。例えば、動画配信であれば時間を選ばず受講できる、オンライン研修であれば育児中などの事情で研修会場への出張が難しかった社員が参加できるなど、受講者の機会と利便性が拡大しました。
そのような教育ツールの一つとして新しく取り組んでいるのが、動画プログラム「Act Active Agent」です。このプログラムでは、社内の研修で受講者が取り組み発表した活動の中から、業務効率改善・スキルアップ・モチベーション向上につながるテーマを、受講者本人が動画化し、紹介しています。受講者が個人の学びを社内で共有することで、学び方の多様化とともに、全社的な働き方改革を進めています。
ガバナンス
カルテル事件の教訓と企業理念を振り返る「NSK企業理念の日」
過去のカルテル事件から学んだ教訓を再認識し、NSKグループの全従業員が「カルテル事件を風化させない」という決意を新たにするために、また一人ひとりが企業理念を振り返り自らの行動規範とするために、2011年に公正取引委員会の立ち入り検査があった7月26日を、2016年度より「NSK 企業理念の日」と定め、毎年、啓発活動を実施しています。
2021年度は、国内および海外の拠点で「社長メッセージ」「企業理念の解説」「カルテル事件の振り返り」に関する動画を視聴しました。その後、日本では、企業理念体系に則った行動を「自分事化」するため、実践事例をアニメーション形式で紹介しました。また、NSK企業理念の日をきっかけに自分の行動を振り返るために、「あたりまえ」としている事柄をテーマに各職場でグループディスカッションを実施しました。
海外では、拠点の責任者のメッセージを視聴した後で、外部講師による講演、コンプライアンスに関するディスカッションなど、それぞれの拠点で独自の取り組みを実施しました。
社会