- 直動製品の状態監視システム実用化に向けた開発を開始
- 直動製品に関するNSK独自の診断技術と、Brüel & Kjær Vibro(ブリュエル・ケアー・バイブロ)社の回転製品の状態監視システムを初めて融合
- パイロットユーザーでの実機検証を進め、2024年の市場投入を目指す
日本精工株式会社(本社:東京都品川区、代表者:取締役 代表執行役社長・CEO 市井 明俊、以下NSK)は、直動製品にも対応した状態監視システムの実用化に向けた開発を開始しました。NSKは本技術を、2023年9月18日(月)~23日(土)にドイツで開催される世界最大級の工作機械展示会「EMO Hannover 2023」に参考出展します。
NSKは、Brüel & Kjær Vibro(ブリュエル・ケアー・バイブロ、以下「BKV」)ブランドで知られる状態監視システム事業を、2021年にグループに加え(参考:
プレスリリース「コンディション・モニタリング・システム事業の買収完了について」
)、回転機構の状態監視システム事業を展開してきました。今回の実用化開発が実現した暁には、回転機構だけでなく、直動機構も含めて設備の状態を監視し、機械設備の異常の有無を評価することが可能となります。この技術により、設備の安定稼働と保全の効率化に貢献します。 2023年度よりパイロットユーザーでの実機検証を進め、2024年度の市場投入を目指します。
開発の背景
近年、少子高齢化による労働人口の減少や熟練労働者の不足などを背景に、生産現場では機械設備や製造ラインを状態監視することで異常を早期に発見してトラブルを未然に防ぐ予知保全のニーズが高まっています。
これまで状態監視は、風力発電機や石油化学工場の大型タービンといった、主に一定の回転速度で連続的に動作する機械設備を対象に実施されてきましたが、生産現場では、直動機構を含む複雑な加工プロセスで動作する機械設備においても精度の高い状態監視を実施することが期待されています。
本開発の特長
- 1. 直動製品に対する独自の診断技術
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NSKはトライボロジー技術を活かし、軸受だけでなくボールねじやリニアガイドなどの直動製品の開発を通じて、独自の診断技術を培ってきました。この診断技術をBKV社の状態監視製品およびサービスに実装し、生産現場の予知保全の実現に貢献します。
- 2. 生産設備と連携した状態監視
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直動機構は、位置や速度、運転パターンが変化するなど、高精度な状態監視の実施にあたり、難易度が高い条件となっています。また、回転機構と直動機構を組み合わせた複雑な加工プロセスを状態監視するためには、設備の運転状態を把握して適切な条件で状態監視を行う必要があります。
本開発では、機械設備と連携しリアルタイムで稼働情報を入手することで、複雑な加工プロセス中でも精度の高い診断の提供を目指します。
本開発で狙う効果
本状態監視ソリューションを生産設備に適用することで、以下の効果が期待できます。
- 回転機構と直動機構が組み合わさり複雑な動きをする設備でも、設備の状態監視が可能となります。
- 診断に関する専門的な知識がなくても、機械設備の異常の有無を評価できます。
- 状態監視をベースとした予知保全により、機械設備の安定稼働と保全の効率を向上させます。
また、状態監視によるお客様の予知保全の貢献に限らず、状態監視データを活用してNSK製品の更なる改良へと繋げていきます。
このように、NSKは製品や技術サービスに加え、今回の状態監視ソリューションの提供により、製品ライフサイクルを通じた価値の創出で社会に貢献していきます。
NSKについて
NSKは、1916年に日本で最初の軸受(ベアリング)を生産して以来、100年以上にわたり軸受や自動車部品、精機製品などのさまざまな革新的な製品・技術を生み出し、世界の産業の発展を支えてきました。1960年代初頭から海外に進出し、現在では約30ヶ国に拠点を設け、軸受の分野で世界第3位、また電動パワーステアリング、ボールねじなどにおいても世界をリードしています。
企業理念として、MOTION & CONTROL™を通じて円滑で安全な社会に貢献し、地球環境の保全をめざすとともに、グローバルな活動によって、国を越えた人と人の結びつきを強めることを掲げています。2026年に向けてNSKビジョン2026「あたらしい動きつくる。」を掲げ、世の中の期待に応える価値を協創し、社会への貢献と企業の発展の両立を目指していきます。
参考リリース