人材マネジメント
基本的な考え方
◆人材方針
NSKグループは、経営姿勢で「社員一人ひとりの個性と可能性を尊重する」ことを明確にするとともに、従業員一人ひとりが企業の貴重な財産であると考えています。この考え方に基づき、「多様な人材の活用」「いきいきと働き続ける職場づくり」「成長に資する機会と場の提供」という3つの柱で公平で個を活かす活力ある職場づくりを推進しています。
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人的資本の価値最大化に向けて
企業理念を実現し、社会課題解決への貢献と持続的成長を両立していくために、NSKグループはMTP2026において「収益を伴う成長」「経営資源の強化」「ESG経営」の3つの経営課題に取り組んでいます。技術や社会が変化していく中、活動の視点を広げ、高い目標の達成のために「変わる 超える」への挑戦を続け、社会から必要とされ、信頼され、選ばれ続ける企業を目指します。当社を取り巻く事業環境が大きく変化する中、多様な人材の知見や経験、視点を集め、互いに刺激し合うことで組織を活性化し、一人ひとりの「変わる 超える」につなげていくことが大切です。それは、従業員がやりがいを感じながら働き続けられること、チームで成果を作り出せることにもつながります。経営戦略と連動した人材戦略のもと、次の3つの目指す姿を掲げ、人的資本の価値最大化、すなわち、多様な人材一人ひとりが個性を最大限に発揮し、さらには可能性を広げ成長し続けられることを目指します。
≪目指す姿≫
① 多様な人材が集まる会社
② 多様な人材がスキル/能力を伸ばし成長できる会社
③ 安全で健全な職場
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◆取り組み事例
① 多様な人材が集まる会社
多様性を組織の力に
NSKは、ダイバーシティの推進を競争力の源泉と捉えています。特に、マネジメント層における価値観の多様化や女性活躍を経営課題とし、女性の管理職および管理職候補層の育成を進めています。
FY2022、日本では、女性活躍推進法に定められる行動計画の改定を行い、目標として「管理職および管理職候補層における女性をFY2024までに100人にする」(主なグループ会社含む)ことを定めました。
女性が活躍できる場と環境づくりのため、若手が事業所を越えてロールモデルに話を聞き、それを記事として社内に発信する取り組みを開始し、女性のキャリア形成を支援しています。また、見えにくい多様性への理解、共感を促進させるためにLGBTQをテーマに活動を継続しています。活動が認められ、NSKはPRIDE指標にてゴールドを3年連続受賞しました。
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先輩社員へのインタビューをまとめた社内報
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② 多様な人材がスキル/能力を伸ばし成長できる会社
経営人材の育成
若手育成の期間を「経営人材としての素地を養うための重要な期間」と捉え、早期育成施策としての若手育成ローテーションから始まり、経営人材候補を継続的に輩出するキャリア開発プログラムを構築しています。2019年からは経営大学の係長コースを追加し、より早い段階から経営を意識する人材を増やすことを目指しています。基幹ポストへの登用に関しては、人材委員会を最上位機関として、経営人材の後継者計画、および人材投資計画を承認しています。基幹ポストの定義(人材要件)を明確化することで、グローバルに融和性のある後継者管理を実現し、海外人材を含めた年齢、性別、国籍を問わない人材抜擢や戦略的登用を実施しています。また、現在、システムを活用したポストと人材のリアルタイムなモニタリングによるタレントマネジメントに取り組んでいます。
経営人材育成の目指す姿
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DX人材の育成
NSKは事業環境の急激な変化の中、DXを単なるデジタルツール、ITツールの導入にとどまらない、会社自体が変わる「コーポレートトランスフォーメーション」と定義し、事業ポートフォリオおよび収益構造の転換のため、DXを推進しています。DX推進の中心となるデジタル人材の育成が不可欠であり、2022年4月に新設されたデジタル変革本部が中心となり全社的なデジタル人材育成プログラムを順次展開しています。国内5,000名を対象に、デジタルに向かうマインドセットを醸成するプログラムの受講を進めており、これまでに約2,700名の受講を完了しました。また、リーダー層を対象にデジタルを活用するためのトレーニングを実施し、約1,000名が受講を完了しています。加えて、実践的なデジタル技術習得のトレーニングとして、生産現場におけるIoT活用プログラム、Pythonなどのプログラミングの習得プログラム、基礎的なデータ分析学習プログラム、コラボレーションツール活用プログラム、市民開発やセルフサービスBI活用プログラムなどの研修を全社展開し、デジタル人材を育成していきます。
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③ 安全で健全な職場
健康経営の推進(こころとからだの健康づくり)
NSKは優良な健康経営を実践している企業として、「健康経営優良法人(ホワイト500)」に6年連続で認定されました。FY2022には、従業員の健康がMTP2026を支える基盤になるとの考えの下、健康の取り組みと経営課題の結びつきを見える化した「NSK健康経営戦略マップ」を見直し、開示しました。さらに「健康宣言」、「健康取組み3本柱」、「推進体制」なども一部見直して、取り組みをステップアップさせています。
健康意識向上のため、eラーニングやオンライン健康フェア、ストレスチェック後の組織診断結果説明会、禁煙推奨デーの呼び掛けなど、様々な活動を継続させ、従業員とその家族のこころとからだの健康保持増進を目指しています。
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禁煙推奨デーポスター
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健康経営eラーニング
◆エンゲージメント調査
FY2018より、エンゲージメント調査をグローバルで隔年実施しています。調査の設問は、“会社の戦略や目標への理解と、自身の業務との繋がりへの意識“ ”担当業務への達成感“ ”成長する機会の有無“など、多岐に渡っています。FY2022は日本と中国で実施し、前回調査結果に比べ、日本では89%、中国では全ての設問でスコアが改善しました。なお、国内調査では、グループ会社を含む約16,000人の従業員を対象に実施し、回答率は93%、自由記述は20,000件を超えました。非常に高い記載率であり、調査会社より、積極的に自らの考えを伝えようとする従業員の姿勢、との評価を受けています。この従業員の声をさらなる改善活動につなげていきます。人的資本経営の3つの目指す姿に向けて、調査結果から抽出された課題に対する施策を含む全ての施策にKPIとその目標を定めて取り組んでいます。「人的資本の価値最大化」は、これら一つひとつの取り組みの成果を積み上げることで実現できると考えており、複合的な成果指標として、調査から得られるエンゲージメントスコアを置いています。加えて、一つひとつの取り組みの成果をより直接的に表すことができる指標として、関連が強い調査設問で構成する独自指標、「NSKエンゲージメントインデックス」を設定し算出を開始しました。今後はグローバルスコアとしてトラッキングしていくことを検討しています。
体制
◆グローバル人事体制
人事総務本部では、グローバル、各地域の人事部門と密接に連携を図りながら、上記の方針に基づいた様々な取り組みを展開しています。各地域・国の取り組みや課題、さらにタレントマネジメントのさらなる強化策について定期的にグローバル人事会議を開催し議論しています。
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目標と実績
◆人的資本の価値最大化に向けて MTP2026主要な指標と目標
多様な人材が集まる会社
取り組み課題 | 主要な指標 | スコープ※4 | FY2022実績 | FY2026目標 |
---|---|---|---|---|
ダイバーシティ&インクルージョンの推進(多様な人材やその価値観などを受容する組織・風土づくりを推進) | 従業員における多様性比率(女性、外国籍、キャリア採用) | 日本 | 13% | 15% |
女性管理職比率※1 | グローバル | 12.5% | 現行水準以上 |
多様な人材がスキル/能力を伸ばし成長できる会社
取り組み課題 | 主要な指標 | スコープ※4 | FY2022実績 | FY2026目標 |
---|---|---|---|---|
仕事と私生活の両立支援(育児、介護、治療など) | 男性育児休業取得率 | 日本 | 72.6%※2 | 70%以上(FY2024) |
新人事制度の導入・運用 | ロール型人事制度の導入(管理職層)・運用 | 日本 | RD※3作成 | 制度理解の浸透、運用実践の向上 |
後継者育成計画の推進 | グローバルポストにおける現地化比率 | グローバル | 73% | 70%以上を維持 |
教育カリキュラムの見直しとデジタルを活用した教育・研修システムの整備 | 一人当たりの教育研修時間 | グローバル | 21時間 | 20%増加 |
デジタル人材の育成 | デジタル人材基礎プログラム受講人数 | 日本 | 約2,700名 | 大規模展開と定着化 実践研修によるスペシャリスト育成 |
デジタル人材中級プログラム受講人数 | 約1,000名 |
安全で健全な職場
取り組み課題 | 主要な指標 | スコープ※4 | FY2022実績 | FY2026目標 |
---|---|---|---|---|
健康経営の推進 | 健康経営優良法人(ホワイト500)認定 | 日本 | 認定 | 認定継続 |
相互啓発型安全文化の醸成 | 休業度数率 | グローバル | 0.38 | 0.10 |
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人的資本の価値最大化
エンゲージメントスコア(グローバル)目標70
※1 管理職に占める女性の比率
※2 当社基準(対象期間を出生日を起点とした1年間)で算出
※3 ロールディスクリプション(ポストの役割と人材要件を明確化したもの)
※4 一部グループ会社を除く