アンギュラ玉軸受

概要

アンギュラ玉軸受

OEMメーカーからの要求は日増しに高まっています。NSKの各種アンギュラ玉軸受は、この多様な要求を満たすために設計されています。アンギュラ玉軸受は接触角度を持っているため、ラジアル荷重と1方向の大アキシアル荷重を同時に支持することができます。またアンギュラ玉軸受はラジアル荷重のかかったときに軸方向成分が生じるため、2個、3個、4個など複数個組み合わせて用いるのが普通です。NSKでは、アンギュラ玉軸受をフルレンジで提供しております。

特長

  • 接触角 ― 15度、25度、30度、40度を用意
  • 保持器 ― ポリアミド製、鋼製、真鍮製の各種保持器を用意

製品一覧

アンギュラ玉軸受は接触角をもっているので、一方向のアキシアル荷重又は合成荷重を受けるのに適しています。 構造上ラジアル荷重がかかるとアキシアル分力が生じるので、2個を対向させて使用するか2個以上を組み合わせた軸受として用います。単列アンギュラ玉軸受は、予圧を加えることにより軸受の剛性を高めることができるので、軸の回転精度が要求される工作機械の主軸などの用途に適しています。

通常接触角が30°(記号A)及び40°(記号B)のアンギュラ玉軸受の保持器は表1によっていますが、用途に応じて合成樹脂もみ抜き保持器又はポリアミド成形保持器も用いられます。寸法表記載の基本定格荷重は、表1の保持器区分に基づいています。

表1 アンギュラ玉軸受の標準保持器

特長

  • ラジアル荷重と一方向のアキシアル荷重を負荷することができます。30°または40°の接触角をもっています。接触角が大きくなるほどアキシアル荷重の負荷能力は大きくなり、接触角が小さいほど、高速回転には有利となります。
  • 2個の軸受を対抗させ、内部すきまを調整して使用します。一般に、鋼板の打抜き保持器が用いられますが、接触角30°以下の高精度の軸受には、主としてポリアミド成形保持器が使用されています。

用途例

  • 軸受剛性が求められる用途に適しています。
  • ポンプ、各種コンプレッサー、スクリュー冷凍機、エレベーター巻上機

組合せアンギュラ玉軸受には、用途の負荷条件に応じて、表2に示す代表的な配置があります。

表2 組合せ軸受の形式・特徴

背面組合せ形 DB  (例)7208ADB

形式

背面組合せ形 DB  (例)7208 A DB

特徴

ラジアル荷重と両方向のアキシアル荷重を受けることができる
作用点距離aoが大きいのでモーメント荷重が作用する場合に適している

背面組合せ形 DB  (例)7208ADB

形式

正面組合せ形 DF (例)7208 A DF

特徴

ラジアル荷重と両方向のアキシアル荷重を受けることができる
背面組合せ形と比べて、作用点距離aoが小さいのでモーメント荷重に対する負荷能力はやや劣る

 

背面組合せ形 DB  (例)7208ADB

形式

背面組合せ形 DT  (例)7208 A DT

特徴

ラジアル荷重と一方向のアキシアル荷重を受けることができる
2個の軸受でアキシアル荷重を受けるので、一方向のアキシアル荷重が大きい場合に適している

 

特長

  • アンギュラ玉軸受を2個以上組み合わせて、外輪の正面を合わせた正面組合せ(DF形)、背面を合わせた背面組合せ(DB形)、及び同じ向きの並列組合せ(DT形)があります。
  • DF形及びDB形組合せは、ラジアル荷重と両方向のアキシアル荷重を負荷することができます。DT形は一方向のアキシアル荷重が大きい場合に用いられます。
  • 高精度(P5以上)の組合せ軸受は、工作機械の主軸に多く用いられます。この場合、予圧を与えて使用し、使用条件に応じて、微予圧、軽予圧、中予圧または、重予圧になるように内部すきまを調整してあります。また、はめあいも特殊です。

用途例

  • ポンプ、コンプレッサー、スクリュー冷凍機、エレベーター巻上機

単列アンギュラ玉軸受を背面組合せとし、内輪外輪をそれぞれ一体にした構造です。両方向のアキシアル荷重を負荷することができ、モーメント荷重に対する負荷能力がある固定側軸受として使用できます。保持器は打抜き保持器です。

特長

  • 2個の単列アンギュラ玉軸受を外輪背面を合わせ、内輪及び外輪をそれぞれ一体とした構造の軸受です。
  • 両方向のスラスト負荷能力をもっています。

用途例

  • コンプレッサー、プレス機、無人搬送車、ベルトコンベア

内輪が二つに分離しており、1個の軸受で両方向のアキシアル荷重を受けることができます。接触角は35°で、アキシアル荷重の負荷能力が大きいです。純アキシアル荷重又はアキシアル荷重の大きい合成荷重を受けるのに適しています。銅合金もみ抜き保持器が使用されています。

特長

  • 中心軸に垂直な平面で内輪が2分割されている内輪・外輪分離形の単列アンギュラ玉軸受です。接触角は35°で、アキシアル荷重の負荷能力が大きい純アキシアル荷重またはアキシアル荷重の大きい合成荷重を受けるのに適しています。
  • 軸受1個で、正面組合せまたは背面組合せのアンギュラ玉軸受を置換えられることができます。一般に、銅合金モミヌキ保持器が使用されています。

用途例

  • トラクター変速機、ロボット減速機、サーボモータ

  

よくある質問

 

answersアンギュラ玉軸受は外輪の肉厚が刻印側と反刻印側で異なります。その理由は外輪と玉の間に接触角があるためです。深溝玉軸受は外輪の肉厚が両側とも同じです。名番の識別は7xxxがアンギュラ玉軸受、6xxxが深溝玉軸受です。

 

answers複列アンギュラ玉軸受は両方向のアキシアル荷重(Fa)を受けることができますが、接触角は限定されます。組み合わせアンギュラ玉軸受や単列アンギュラ玉軸受を2つ使用した場合は組み合わせ方によって、片方向のFaしか受けることができません。しかし、接触角が限定されないため、ラジアル荷重(Fr)/Faの比率に適した軸受が選べます。なお、組み合わせアンギュラ玉軸受はすきまと組合せ精度が管理されており、回転精度や音響レベルが安定しています。しかし、単列アンギュラ玉軸受を2つ使用した場合は単体管理のため、組み合わせ時のばらつきが大きくなります。

 

answers英単語Angularは角度という意味があります。つまり、アンギュラ玉軸受は玉と外輪が角度をもって斜めに接触している玉軸受です。玉と接触角が大きいほど外輪と玉は斜めに接触していて、負荷できる荷重、許容回転数に違いがあります。
 

  

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