技術開発

技術マーケティングと
研究部門が一体になった開発で
建設機械の軸受シェア拡大へ

産業機械技術総合センター 産業機械軸受技術センター
風力・大型機械技術部 建機グループ 副主務

トップシェアの自動車向けと異なり
先行企業を追いかける建機向け部門

NSKは軸受のトップブランドであり、実際に様々なカテゴリーの機械製品にNSKの軸受製品が使用されています。特に巨大産業とされる自動車の領域においては軸受サプライヤーのリーディングカンパニーであり、シェアもトップクラスです。一方で、先行企業を追いかける後続位置につけ、シェア拡大を狙うアプリケーション(軸受を提供する製品領域)もあります。私の所属するグループが担う建設機械・鉱山モビリティもその一つです。

追撃していく位置にある私たちが製品開発で実績を拡大するには積極的な攻勢が不可欠です。待ちの姿勢では遅れをとってしまいます。そこで私は顧客各社から次のニーズを発掘し、それを受注という形で獲得するために、積極的な技術マーケティングを行っています。展示会への参加や軸受を使用するコンポーネントメーカーとの技術打合せなど様々な機会を設け、そこから開発・設計・製造に至るチャンスの拡大を図っているのです。

そうした上流でのアプローチに並行して、チームは新規の開発・設計を進めています。顧客からの図面作成や見積作成、設計検討等の依頼に対応しつつ、不具合対応にも開発の立場から関わっています。

インタビュー写真01

建設機械特有のニーズに応え
技術力で差別化を図っていく

地面を掘り下げるパワーショベルや鉱山の超大型ダンプトラックなどの建設機械・鉱山モビリティは、砂埃の舞う現場や泥濘地など過酷な環境で使用することが多く、軸受には混入した異物に対抗できる強い材料が求められます。自動車とは比較にならない使用時の衝撃や荷重に最適化させる玉やコロの設計ノウハウも重要です。

その一方で、建設機械業界は世界的に激しいコストダウン要求にさらされており、特別仕様ではなく汎用度の高い標準軸受を採用することでコストをセーブするのがトレンドになっています。このような市場環境の中、NSKは競合との差別化を図って事業規模を伸ばしていくために、建設機械の中でも特殊品の使用が認められやすいアプリケーションに狙いを絞り開発検討を進めています。

その実現には高度な技術が必要になりますが、開発を行う私たち技術部には、材料開発や熱処理、解析技術等でコア技術を蓄積している研究部門の支援があり、他のアプリケーション向けの軸受を開発しているチームとの連携でも大きな成果を生んでいます。

脱炭素社会が求める軸受に
開発技術者が主体となって挑む

新たな提案で積極的に市場展開を進めている建機グループでは、開発メンバーは新規開発案件の企画段階から立案・検討に関わり、それは難しいながらも大きなやりがいになっています。また、軸受は技術調査から仕様決め、設計、製図までの開発の主要工程を一つのチーム内でこなすことが可能です。自分たちでニーズを捉え、それに応える軸受を考え、形にしていく作業には、ものづくりの醍醐味が詰まっています。

こうした開発風土から、実際に次世代の建設機械の軸受技術を確立する挑戦が、少しずつ実り始めています。例えば、軸受コンポーネントの長寿命化技術の検討です。近年は、カーボンニュートラルの実現を目指す社会の要請から、軸受に関しても新たに脱炭素に貢献するための開発テーマが浮上しており、その一つが長寿命化です。長寿命化により顧客の建設機械の長期稼働を実現し、軸受の交換頻度を低減、脱炭素に貢献します。

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前職での経験やスキルがあるからこそ
開発の方向性を広げることを期待される

前職で中型・小型油圧ショベル用油圧ポンプ・モータの開発を行い、さらには海外開発部門への量産化支援などを経験し、転職してきました。入社後は、想像通りNSKの「Motion & Control」の向上を追求する意識の高さと、それを可能にする技術の先進性を様々な場面で目の当たりにすることができました。特に軸受の開発と製造に関しては、業界を主導する企業らしく圧倒的な知見の積み重ねを感じています。

ただ、そうした中で私の前職での経験やスキルが埋もれてしまったかと言えば、そんなことは全くありません。社内の技術者たちから、他の機械構成部品の開発経験者として尊重され、専門外からの意見が期待されました。そこに垣根は全く感じません。実際に意見を交わし合い、より高次の案にたどり着き、成果を上げたことが幾度もありました。

NSKには仲間の意見に素直に耳を傾ける社員が多く、キャリア採用で入社した人が早期に本来の力を発揮できる素地になっていると思います。今まで培ってきた何らかの技術を、軸受の新規開発に生かしたいと考える方であれば、NSKには独自の視点で創造力を発揮できる機会が数多くあります。

Message

NSKは様々な産業向けに多角化された事業を展開しています。そのため、各分野での研究や開発から担当分野以外の知見を得られ、自身が取組む開発の参考にすることができます。また、課題が生じたときは事業間の垣根を超えて知見を共有し、"ALL NSK"で解決に取り組む風土があると感じます。こうした技術の多様性がある環境だからこそ、新たな製品やサービスが生まれるものだと、私は考えます。現在の専門分野を土台にしつつ、他分野の技術を取り込んで機械技術のエキスパートを目指したい方、ぜひ一緒にNSKで働きましょう。

※組織、役職名称は取材時のものです。

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